Appleと大手5大出版社の捜査に複数のキープレーヤーが介入
iBookstoreでの価格設定をめぐる取り決めが独禁法に違反するとして米司法省がAppleと出版大手5社を提訴。MacmillanとPenguin以外は和解案に合意したが、今後どういった動きを見せるのだろうか。
Appleと大手出版社が価格操作を行った疑いで米国司法省が捜査を行なっているが、それについてはまだ何もニュースがないというのが現状だ。Appleと大手6大出版社の内の5社、Harper Collins Publishers、Hachetter Book Group、Macmillan Publishers、Penguin GroupとSimon & Schusterは電子書籍のエージェンシー価格モデルを設定するために秘密裏に共謀していた疑いで告発されている。この契約が反トラスト法違反だと感じる人もおり、間もなくリリースされるiPadの売り上げを加速させる一方でAmazonを打倒するために計画されたと考える人もいる。これまでのところ関係者すべてが同意に至った契約は存在していない。
今週、米国消費者連合のマーク・クーパー氏が米国上院司法委員会のアンチトラスト小委員会に、Appleと大手出版社間の違法な契約の結果、米国の消費者は2億ドル以上の損失を被っているという内容の書簡を提出した。
エージェンシーモデルを強制し、結果的に対象電子書籍を販売し続けるためにAmazonが電子書籍の価格を上げざるを得なくなった契約が存在するなら「反競争的かつ消費者の利益に反する共謀行為に当たる」と、クーパー氏は7ページの書簡の中で述べる。「企業間で最低価格を設定する共謀行為は『確実に』違法で、特に価格操作の最初の成果の1つとして、消費者価格を引き上げ後に、出版社の利益が引き上げられるならなおさらだ」。
これは興味深い余談なのだが、この調査に関係する議会のグループに意見表明してきた数々のエージェンシーや民間企業は、Amazonをこれ以上強大にする決定を下さないよう選任された当局者に強く働きかけている米国中の書店組合や電子書籍プラットフォームが中心のようだ。
Appleと大手出版社が人為的に引き上げた価格で消費者に損失を被らせ、結果的に自社の利益を増やすためにアンチトラスト法を侵害したかどうかの捜査でAmazonが悪者になったのはどういうことだろうか。確かに、Amazonは想定されている価格操作で被害を受けたとされる主要企業に名を連ねているが、同社だけが被害を受けた訳ではない。この捜査は価格引き上げを強制するために企業間で違法に協力したかどうかを決定するはずのものだからだ。
これは食い物にする機会がそこにあるからという理由でAmazonの頭上を旋回するハゲタカ行為の1例といえるかもしれない。捜査全体は――Amazon、Walmart、Tagetも2009年に同様の訴訟にさらされた――疑わしい企業間の秘密裏の会合で人為的に設定された高価格により消費者が損失を被ったかどうかに対して向けられるべきということを記憶にとどめておくのは重要だ。前と同じく、問題はAmazonではない。
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