番外編:NASから自炊データを直接読み出せる「新世代」ビューワを使う:電子書籍「自炊」完全マニュアル(2/2 ページ)
「自炊」データを読むためのビューワとして、ネットワークドライブ上に置いた自炊データを直接読み出せる新しいタイプのビューワが台頭しつつある。自炊データを端末に転送せずに読めてしまう、まさに革命的なビューワだ。今回はiPhoneとAndroid、それぞれで使えるこれら新世代のビューワアプリを紹介しよう。
Androidは「ComittoN」
「ComittoN」は、Androidに対応した無料の自炊データビューワだ。ZIP圧縮ファイルに対応しており、NAS内に置かれた自炊データをネットワーク越しに読み出して表示できる。従来は末尾に「N」のない「Comitto」というアプリで、こちらは安定性に難があったが、Android2.2以降に対応した新バージョンである本アプリは安定性も高く、快適に自炊データを楽しめる。圧縮ファイルはRAR形式にも対応するほか、画像はJPG/PNG/GIF/BMPに対応と幅は広い。
まずは使用前に、NASのIPアドレスもしくはコンピュータ名と、アカウント名、パスワードを登録する。「192.168.0.55」といったIPアドレスのほか、コンピュータ名でも登録が可能なので、IPアドレスが書き替わった場合でもアクセスしやすい。また自炊データを保存している共有フォルダのパスも併せて入力しておける。例えばNAS上の「book」というフォルダに自炊データを保存しているのであれば、「192.168.0.55/book/」としておけばよい。
登録が終わり、先の一覧画面に前記のサーバ情報が表示されていれば、タップすることでNAS内のZIP圧縮JPGデータが表示される。タップするとページの読み込みが開始され、やや間があってから1ページ目が表示されるので、あとは左右タップで読み進めていけばよい。もちろん左綴じと右綴じを切り替えることも可能だ。
ユニークな機能として挙げられるのは、マイクに息を吹きかけることで手を使わずにページをめくる機能だ。1回の「フッ」で次ページ、2回の「フッフッ」で前ページ、「フー」でスクロール、「フッフー」で逆スクロールと、かなりの慣れとコツを要する機能だが、手をまったく使わなくともページめくりができてしまうのは面白い。このほか、音量大/小ボタンでページをめくる機能も用意されているので、環境に合わせて利用できる。
このほかにも読書ビューワとしてのオプションは豊富で、大きすぎる画像を縮小して読み込ませることでメモリの消費量を抑える設定が用意されていたりと、ロースペックな端末でも読めるようにさまざまな配慮がなされている。今回はスマートフォンでの設定例を紹介しているが、もちろんタブレットでも利用できる。ユーザーの意見を取り入れての進化が目覚しいアプリだけに、今後にも大いに期待できそうだ。
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