提訴されていたスキャン代行業者が訴えを認める「認諾」を選択
スキャン代行業務が著作権侵害だとする裁判で、提訴されていた業者の1社である愛宕は、「権利の濫用」としながらも、訴えを認める「認諾」を表明した。
ユーザーに代わって書籍をスキャンして電子ファイルを作成する「スキャン代行業務」が著作権侵害であるとして、浅田次郎氏、大沢在昌氏、永井豪氏、林真理子氏、東野圭吾氏、弘兼憲史氏、武論尊氏の作家7名が原告となってスキャン代行業者2社に複製行為の差し止めを求めた提訴に進展が見られた。提訴されていた「スキャンボックス」を提供する愛宕と、「スキャン×BANK」を提供するスキャン×BANKのうち、愛宕が4月27日、訴えを認める「認諾」を表明した。
愛宕はGVA法律事務所を訴訟代理人として反論の準備書面を提出、3月9日に第1回弁論準備手続を行っているが、4月27日に訴えを認める「認諾」を表明した。この日はの第2回弁論準備手続の日だった。
愛宕はサービス利用者の手足に過ぎず、また、事業としても利益が出るようなものではないと主張。複製の主体はあくまでサービス利用者としたが、訴訟の負担や対外的な影響、時間損失などが本業のシステム開発に支障を来すとしてスキャン代行事業の停止を決定した。
この訴訟では、スキャン代行業務、つまり第三者による私的複製の代行が適法かどうかに司法判断が下る場として注目されていた。また、スキャン代行業者がスキャン後の裁断本を利用者に返却、それが違法流通しているという懸念なども示されていたが、判例が下る前に愛宕の訴訟は終了することになった。愛宕とともに提訴されたスキャン×BANKも2月にスキャン代行サービスを停止しているが、スキャン×BANKからはこの提訴に関しての進ちょくは特に明らかにされていない。
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