量販店などでも雑誌の定期購読をプリペイドカードで扱う日は来るか
米国の中堅出版社であるConde Nastは、WIREDなど幾つかの雑誌について紙と電子をセットにした年間定期購読をプリペイドカードとして量販店で販売しているようだ。
電子書籍関連のニュースサイト「The Digital Reader」でネイト・ホフェルダー氏が雑誌の販売に関する興味深い投稿をしている。
「iPad Magazine Subscriptions Now Available at Your Local Target Store」というタイトルのこの投稿を意訳すると、「発表されたばかりのソニーのReader新モデル(PRS-T2)を大手量販店チェーン『Target』に見に行ったら、その弾みで『WIRED』や『GQ」『Glamour』などConde Nastが刊行する有名雑誌の紙版と電子版を合わせた1年間の定期購読(サブスクリプション)が20ドルくらいのプリペイドカード(InCommのFastCard)として売られていて驚いた」というもの。
これは、私たちがコンビニエンスストアなどでWebMoneyやiTunes Cardを購入するのと同じ感覚で、雑誌(紙と電子のセット)の年間定期購読がプリペイドカードとして販売されていると考えればよいだろう。カードを購入後、そこに書かれたコードを同社のWebサイト上でアクティベーション(有効化)すると、電子版の配信先を(アプリが用意されている)iPad、Kindle Fire、Nook Tabletから選択する流れのようだ。この辺りはすでに提供されているものなので目新しさはない。
現在、WIREDの定期購読代金は、紙だけなら12冊(issues)で14.99ドル。これは本稿執筆時点のレートでいえば1冊当たり100円を切る程度の額だ。そして、あと5ドル追加して19.99ドル支払うなら、紙版に加え、電子版も手に入れることができるようになっている。このため、この記事の注目は、「プリペイドカードで雑誌の定期購読」というスタイルを試行している点にあるといえる。
雑誌は読者と広告主の両方に課金できるビジネスモデルで、そのどちらに重きを置いているかは日米の雑誌業界で異なる部分もあるが、顧客との継続的な関係を作る定期購読を増やしたいという方針は同じだ。紙か電子かというのは選択肢に過ぎず、それらと消費者の接触面をどう増やすかが課題となっている。その施策の1つとして、米国の中堅出版社であるConde Nastがコンテンツをフットワーク軽く、こうしたプリペイドカード型の販売を取り入れてきたのは、自社でコンテンツを直接販売しているConde Nastだからできる、という部分はあるが、面白い動きと言えるだろう。
関連記事
- 今、「雑誌愛読月間」だったって知ってます? 今年は電子雑誌も――
夏になると「夏の100冊」のようなフェアを数多く目にするが、そういえば「雑誌」にもそうしたフェアがあるのだろうか? 調べてみると、今はちょうど「雑誌愛読月間」の真っ最中だった。 - iPad版「Wired」で年間定期購読が可能に
Conde Nastは、同社のiPad用電子雑誌「WIRED」をアップデート、定期購読オプションを用意した。 - 米Wired誌が「GitHub」を使った記事制作を実験
デベロッパーにはおなじみの「GitHub」を記事制作のバージョン管理に利用した取り組みを米Wired誌が試行した。 - Conde Nast、人気スマホアプリの電子カタログ誌「Wired App Guide」を発売
米雑誌社大手のConde Nastは、人気iPad/iPhone/Androidアプリの総合カタログ誌「Wired App Guide」をiPad専用電子書籍アプリで提供開始した。 - アドビの「Digital Publishing Suite」は電子出版ソリューションの最右翼か
アドビシステムズは、2011年第2四半期にリリース予定の雑誌/カタログ向けコンテンツ制作ソリューション「Adobe Digital Publishing Suite」に関する説明会を開催した。電子出版が抱える課題を解決しようとする意欲的なソリューションに、国内の出版社も興味を示している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.