出版社、紙と電子の間の壁を突破
Random House Canadaはオンラインマガジンと電子書籍プラットフォームを立ち上げた。作品を販売し作家を売り込むだけでなく、読者と情報をつなぎ、継続してその関係を維持するのに寄与していけるだろうか。
大手出版社の1部門であるRandom House Canadaは出版社に期待される役割と現在の電子出版の人気を分かつ壁をあいまいにするオンラインマガジンと電子書籍プラットフォームを立ち上げた。
19世紀のエッセイストにちなんで名付けられた、『Hazlitt』は主に短編を特徴とするオンラインマガジン。電子書籍プラットフォームの「Hazlitt Originals」は、プリントメディアを主な事業領域としてきたRandom Houseには似つかわしくない、デジタルメディアでのみ出版可能なコンテンツに光を当てようとしている。
「何が起ころうとしているのか誰にも予測はできませんが、願わくば素晴らしい作家が素晴らしい作品を発表する場を提供したい」とHazlittの編集長、クリストファー・フレイ氏はThe Starのトニー・ウォン氏のインタビューに答えて語った。「有名作家であれ新人作家であれ作家を中心に据えたい」。
より多くの雑誌と新聞が読者を獲得し印刷および配送コストを節約するために電子出版へ進出するにつれ、長編ジャーナリズム領域も電子化に向けて走りはじめおり、紙の制約に縛られることなく、より深みのあるコンテンツが入手可能となっている。加えて、Random House CanadaのWebサイトのようなオンラインプラットフォームは、作品を販売し作家を売り込むだけでなく、読者と情報をつなぎ、継続してその関係を維持するのに寄与している。
関連記事
- ほぼ全文書き起こし:電子書籍時代に出版社は必要か――創造のサイクルと出版者の権利をめぐって
7月上旬、「東京国際ブックフェア」の最終日、ある重要な議論の場が設けられた。出版業界の抱える課題が凝縮されたいわば「パンドラの箱」のようなこのシンポの様子を全文書き起こしでお届けする。 - 出版デジタル機構とパブリッジが目指すもの
出版デジタル機構――出版物の電子化支援を掲げこの4月に設立された同組織は、日本の電子書籍市場に欠けていた最後のピースなのだろうか。彼らが何を目指しているのか、あるいは胸にはどんな思いを秘めているのか、その輪郭を掴むべく、今回直接経営陣に話を聞いた。 - 電子化が迫る著者と販売サイトの新たな関係:力が無い販売サイトは料率を下げるべきなのか?
佐々木俊尚氏が、ブクログのパブーが料率をそれまでの30%から60%への変更を求めてきたとTwitter上で明かし波紋を呼んでいる。それは中間業者の搾取なのか。著者と販売サイトの関係を再確認する意味でこの動きを幾つかのポイントに沿って見ていこう。
関連リンク
Copyright© 2015 Good E-Reader. All rights reserved.
(翻訳責任について)
この記事はGood E-Readerとの合意の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。