還元。そしてニコニコできる創造の世界へ――niconicoが電子書店になる本当の理由(3/3 ページ)
「なんか金稼ぎにきたな、とは思われたくないんです」――niconicoの電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」がこのほどリニューアルし、約3万2000冊の電子書籍を取り扱う“ストア”へと生まれ変わった。単に本を売るだけではない、CGMプラットフォームであるniconicoだからこその狙いが、そこにある。
ニコニコ静画(電子書籍)のコメント機能はまだ「イケてない」
コンテンツ上で血の通ったコミュニケーションを実現する――これも、ニコニコ的文化の「真骨頂」(伴氏)だ。ニコニコ動画がそうであるように、ニコニコ静画(電子書籍)でもおなじみのコメント機能が楽しめる。こうした電子ならではの機能を磨いてこそ、電子書籍に「付加価値」が生まれるという思いもあるという。「電子書籍の商品価値は、現状だと危ういなと思っています。置き場に困らないといった面はありますが、それ以外の電子化されているメリットが少ないと感じる」(伴氏)。
ただ、ニコニコ静画(電子書籍)のコメント機能について伴氏は「イケてない」という認識だ。「ニコニコのユーザーが受け入れやすい機能としてまずはコメント機能を導入してみました。書きこんでくれる人もいますし遊び方もいろいろあるのですが、動画や生放送のように自動的にコメント職人が生まれてどんどん面白い使い方が生まれるスパイラルに、まだなっていない」(伴氏)
現場では、次のニコニコらしさの模索が始まっている。伴氏は、「ネットでつながっていて、他の人がいて、面白い」というニコニコらしさを「これまでの動画のロジックにとらわれず、自由に発想したい」と意気込む。「例えばですが、音を使ってみるとか。電子書籍だと耳が余っているので」(伴氏)。
「ソーシャルリーディングというとカッコ良すぎてあまり言いたくないのですが、みんなで本を読んでいる感覚をどうにかして表現したい。もちろんエンターテインメントなので、汎用性があって単純なもので。今後もちょいちょい、実験的な機能を試していきたいです」(伴氏)
関連記事
- 3万冊を扱う“本屋”になった「ニコニコ静画(電子書籍)」を使ってみた
ドワンゴの電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」が有料販売を本格開始し、iOSアプリにはストア機能が加わった。サービスを使ってみると、コメントの盛り上がりやタグ、イラストPOPを通じて作品に出会えたりと、ニコニコらしい仕掛けがあることが分かる。 - 見せてもらおうか、ニコニコで読める電子書籍3万冊の内訳とやらを
どの出版社の作品が多いのか。どのジャンルが強いのか。 - 「ニコニコは本屋になる」――ドワンゴ、「国内最大級」のコミック配信サービスを開始
ドワンゴが小学館や集英社など124の出版社と提携し、コミックを中心に約3万冊の電子書籍を「ニコニコ静画(電子書籍)」で提供する。大手出版社の人気作をそろえ、「青空文庫、Wikipedia、楽譜もない」という「水増しなし」のラインアップだと、担当者は自信を見せる。 - niconicoのブロマガ、有料登録者2万人突破
8月21日にスタートしたドワンゴの記事配信サービス「ブロマガ」の有料登録者が2万人を突破した。人気チャンネルの上位は、「週刊『夏野総研』」「岡田斗司夫のニコ生では言えない話」「GACKT ちゃんねる」など。 - コンテンツ販売の未来は――津田大介さん、佐々木俊尚さん、ドワンゴ川上会長など議論
有料メルマガの成功で、無料が当たり前だったテキストコンテンツの世界に課金モデルが浸透し始めている。コンテンツ販売の未来はどうなるか――津田大介さん、佐々木俊尚さん、岩崎夏海さん、川上量生さん、夏野剛さんが議論した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.