なぜ電子書籍リーダー/タブレット製造企業は失敗するのか――別の視点から
Good e-Readerのマイケルによる電子書籍業界の失敗論。しかしそこには最重要事項が抜けているように思う。エコシステムの欠如だ。
先日、Good e-Readerのマイケルが『なぜ電子書籍リーダー/タブレット製造企業は失敗するのか』というコラムを書いた。内容をはしょると、企業の失敗は低品質デバイス、標準以下のハードウェア、専門的マーケティング、プレスリレーション、苛烈な競争の欠如、ほかの要因間によるとマイケルは結論づけた。これには完全に同意だが、最重要事項が抜けているように思う。エコシステムの欠如だ。
マイケルは消費者が購入したいスタンドアロンガジェットとして、PandigitalのCool-ER、Entourgeなど幾つか例を挙げ、それらの製品について考察した。実際には、スタンドアロンの製品ではなく、電子読書エコシステムの一部である。平均的な消費者は製品の技術的仕様には関心がない可能性がある(あるいは仕様を読んでも理解すらできない可能性がある)が、その製品で何ができるか常に知りたがっている。『@bookofjoe』の最近のツイートによると「Apple以外のすべてのタブレット製造企業はタブレットを使ってどんな素晴らしいことができるかではなくデバイスがいかに優れているかを宣伝するのに莫大な金を使っている。致命的なエラーだ」という。
平均的な消費者は書籍を読みたがっていて、一番シンプルかつ簡単な方法でそうしたがっている。Apple以外の企業は消費者に対して、その部分を成し遂げることができていない(筆者が『平均的な消費者』といっていることに注意してほしい。電子読書が主流になるまで、それはダウンロード、ネットサーフィン、デバイスとPCの接続、SDメモリーカードの利用などの方法を知っていた技術オタクに専有されていた。しかし、現在主流派の消費者は、現在、電子読書の技術的側面についてほとんど知識がなく、まったく興味がない可能性があるグループだ)。失敗しているすべての企業は技術オタクと読者の区別を付けることに失敗している。初期の読者は技術オタクだったが、現在はそうではない。
Apple、Amazon、Kobo、Barnes & Nobleの成功に目を向けてほしい。共通しているのは何だろうか。
良い製品は、書籍の購入時、「非」技術オタク的な読者にとってシンプルで簡単なエコシステムを開発している。読者は書籍を購入するのにPCすら必要ない。電子書籍リーダーを何度かタップしさえすれば、本は購入できる。
この典型的な例が引退した化学技術者である筆者の友人だ。彼は自分のKindleをPCに接続したことがなく、その方法も知らない。写真を取るのにiPhoneを利用しているが、画像をiTunesにダウンロードできることは知らない。自分のiPhoneをアップデートしたこともない。技術に関する知識不足は筆者の友人のほとんどに当てはまるが、全員が大手企業の電子書籍リーダーを所有しており、書籍をむさぼるように購入している。すべて万能の電子書籍リーダー上で。
電子書籍リーダー向けの主流市場は、簡便なエコシステムをただ求める、あるいはまったく技術的知識のない人々に支えられている。iPadが非常に人気がある一方でほかのタブレットが苦戦しているのはなぜだろうか。簡単に利用でき、豊かなエコシステムが存在しているからだ。もちろん、マイケルが記事の中で言っていることはすべて正しいが、彼自身が技術オタクなので、ほとんどの技術オタクと同様に、多くの人々は『技術オタク』的側面にまったく興味がなく、恐らくはそれを忌避していることを忘れている。
エコシステムが重要なんだ、マイケル。
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