BookOS、電子書籍の海賊行為に関して非難される
電子版の海賊行為。BookOS.orgのように海賊版電子書籍をリストしているサービスなどもあるが、BookOSの成功に関して、誰がサイト閉鎖の責任を負うのだろうか。出版社だろうか。著者だろうか。ユーザーだろうか。
電子書籍の海賊行為、あるいはメディアを問わず電子版の海賊行為は世界中で多くの議論が交わされる問題だ。
これらの議論の中で、一般的に海賊行為の幇助者は犯罪の共犯者だと見なされている。BookOS.orgは無罪だとはいえないWebサイトで、多くの人が同Webサイトのコレクションに海賊版電子書籍が大量にリストされていると非難している。世界最大の電子書籍ライブラリーであることを主張するこのWebサイトは1度ダウンしたとの報道もあったが、通常運用に戻っているようだ。
言うまでもなく、著者コミュニティーは同Webサイトに対して怒りを表明しており、それには妥当な理由がある。作品に対して海賊行為が行われ販売されたり無料配信されると、著者は生活の糧を奪われることになる。著者は電子書籍の売り上げの一部を受け取るか、何部書籍が売れても一定の額を出版社から受け取ることに同意するかのどちらかだ。後者は一般的により著名な著者に適用され、生活の糧に関する限り海賊行為から受ける被害は少ないが、売り上げに依存する著者は作品に対して海賊行為が行われると損失を被ることになる。
事前の認識や同意なく電子書籍がBookOS.orgにリストされていることを著者が発見したときの驚きを想像してほしい。同サイトは報告すると書籍へのリンクを除去する著者向けの条項を用意しているが、同じ電子書籍が再びリストされることも多い。『Shut BookOS Down』というFacebook上のキャンペーンも進行しているが、それに対する『いいね』は70以下にとどまっている。とはいえ、粘り強い活動によりFacebook上のキャンペーンは機能しているようで、BookOSのFacebook上の存在感は大きく制限されている。とはいえ、BookOSは1万8000以上の『いいね』を獲得しているのだが。
ユーザーは書籍が完全に無料で配信される限り何も文句はない。特に数百ドルを節約できるとなると、倫理的であることは時に難しくなることもある。意見は完全に割れており、高価な本だけが海賊行為の対象となるリスクを負うと思っている人もいる。SFとファンタジーの出版社であるTor Books UKは一年間、自社の本からすべてのコピープロテクションを外す実験を行ったが、どのタイトルについても海賊版の数に目立った上昇はなかったという。
しかし、最後に心にとどめておくべきは著者コミュニティーが、海賊行為が広く容認されている電子時代に、侵食されるリスクを冒しているということだ。海賊行為を容認されたWebサイトがそのサイトを閉鎖しようとする行動よりも支持されている場合、われわれは問題を抱えているといえる。BookOSの成功に関して、誰がサイト閉鎖の責任を負うのだろうか。出版社だろうか。著者だろうか。ユーザーだろうか。このような海賊版Webサイトはユーザーがコンテンツへの支払いを拒否すると繁栄し、結局、著者が最大の被害者となる。
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