「楽天koboイーブックストア」を徹底解剖する:電子書店完全ガイド2013(5/5 ページ)
eBook USERがお届けする国内の主要な電子書店の徹底レビュー。そう、これは“書店のレビュー”だ。完全ガイド2013年版の第2回目は「楽天koboイーブックストア」を紹介する。
購入した本はどうやって保管されるか?
端末にダウンロードした電子書籍にはDRMが掛かっていますので、バックアップコピーや移動はできません。ただ、購入した作品には一部を除き再ダウンロード期限などは設けられていないので、クラウド上にある[マイライブラリ]から何度でもダウンロードできます(☆+0.5)。端末の故障によるファイル紛失といった心配は要りません。
むしろ、こうした物理的なファイル紛失より影響が大きい状況、つまり、サービス自体が終了してしまうリスクを、Kobo買収前に楽天がオープンし、2013年3月31日まで運営していた電子書店「Raboo」から連想する方も多いかもしれません。このとき楽天は、Rabooでの購入代金の半額以上相当のポイント返金、Koboへの優遇引っ越しプランなどを提示しましたが、同じグループでも運営主体が異なるため、koboイーブックストアに電子書籍の購入履歴を引き継ぐことはコンテンツの権利上の問題などでできずに終わりました。
クラウド型であってもサービスが終了してしまえば「読めなくなる」リスクがあるのだということをユーザーに強く意識させることになったRabooの苦い経験を、いまだどの電子書店もなし得ていない、「どこで買ったか」に依存されないサービス構築に向けての糧としてくれることを期待したいところです。
評点:☆3.5
総括
オープンから1年が経ちました。改めて当時と比較すると、1年でここまで進化したのかと正直驚嘆を覚えます。当初は「kobo touch」でしか使えなかったサービスが、Androidに対応し、iOSに対応し、楽天ブックスと連携し……などなど。
当初、あまりに未完成な状態でリリースしてしまったことで、ユーザーにネガティブなイメージを与えてしまったわけですが、地道に改善を積み重ねてきたことで、マイナス部分はかなり払拭されたように思います。市場が独占されるとサービス競争がなくなってしまうため、願わくばAmazon Kindleの良きライバルとして、お互い切磋琢磨しユーザーの満足度を高めていって頂きたいところです。
著者プロフィール:鷹野 凌
フリーライター。ブログ「見て歩く者」で、小説・漫画・アニメ・ゲームなどの創作物語(特にSF)、ボカロ・東方、政治・法律・経済・国際関係などの時事問題、電子書籍・SNSなどのIT関連、天文・地球物理・ロボットなどの先端科学分野などについて執筆。電子書籍『これもうきっとGoogle+ガイドブック』を自主出版で配信中。
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