クラウドソーシングを利用してより迅速に読みたい人の元へ――「アクセシブルな電子書籍製作実験プロジェクト」始動
社会福祉法人日本点字図書館が、視覚障害など読むことに障害のある人々が読みたい本をより早く読めるよう、クラウドソーシングとWeb上のオープン・コミュニティーを活用したアクセシブルな電子書籍製作実験プロジェクトを開始する。
社会福祉法人日本点字図書館は10月15日、視覚障害など読むことに障害のある人々の読書環境向上のため、クラウドソーシングとWeb上のオープン・コミュニティーを活用したアクセシブルな電子書籍製作実験プロジェクトを開始する。
点字図書館などいくつかの視覚障害者情報提供施設・団体では、点字図書や音声図書に加え、デジタルテキストからなる「テキストDAISY(Digital Accessible Information System)」と呼ばれる形式(テキストの音声読上げ、ハイライト表示、拡大表示などを備える形式)のアクセシブルな電子書籍の制作・提供に取り組んでいる。
しかし、従来の方法では、紙の書籍をスキャンし、その画像からOCRソフトでテキストを取り出し、誤認識を特定スタッフが紙の書籍と照合し修正していたため、点字作成ほどではないにしても時間がかかっていた。そこで、OCR処理したデジタルテキストの校正作業にクラウドソーシングを導入し、不特定多数の参加者に協力してもらうことで、テキストDAISY図書制作を迅速に行えるようにするのが今回の取り組みだ。
また、その参加者の活動基盤としてWeb上のオープン・コミュニティーを活用することで、障害当事者が読みたい書籍のリクエストを行ったり、制作支援ボランティアが質問や情報交換ができるようにする。
なお、同法人では、制作支援ボランティアを随時募集している。
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