楽天Koboの新型電子書籍リーダー「Kobo Aura」を使ってみた(2/2 ページ)
Koboが12月6日に発売した電子書籍リーダー「Kobo Aura」。スマートフォンやタブレットと同様のフラットパネルを採用し、従来の電子ペーパー端末とは異なる読書体験を提供する同端末の実力は?
Koboイーブックストアの利用は?
次に、端末からKoboイーブックストアを利用してみよう。Kobo Gloとは異なり、[ストア]メニューに[ストアトップ]というメニューが存在する。購入履歴や評価履歴に基づくリコメンドは、[関連書籍]や[おすすめ]として提供される。
購入プロセスは非常に簡素。決済情報が登録済みの既存IDで利用する場合は、確認画面が1回はさみ込まれるだけ。2タップで購入、ダウンロードできる。Kindleの「1-Click」にはかなわないが、その代わり確認画面で楽天スーパーポイントやクーポンコードの使用を選択できる。「今回の買い物では楽天ポイントを使う/使わない」という選択ができるし、クーポンコードはかなり頻繁に発行されているので使用頻度が高いだろう。
読書時のインタフェースは?
タッチパネルの操作はKobo TouchやKobo Gloと同じで、画面左側をタップでページめくり、戻る場合は右端、画面中央タップでメインメニューが表示され、タップ&ホールド(長押し)で範囲選択やメモなどのオプションメニュー表示となっている。
メニューからフォントの大きさや種類は変えられるが、行間・余白・文字揃えはいまだに日本語書籍未対応だ。
ハイライト、メモ、辞書、Facebookへの引用投稿など、さまざまな操作の発端になるタップ&ホールドでの範囲選択は、Kobo Auraでも操作感が改善されていない。
Kindle Paperwhiteの2013年モデルでは選択範囲の両端につまみ型アイコンが表示されるなどの改善が施される中、範囲が選択しづらく、修正もできないKobo Auraの範囲選択機能はハードウェアがよくできているだけに正直残念な部分である。
応答速度や画面リフレッシュは?
操作に対する応答速度は、以下の動画で確認してみてほしい。印象としては、Kindle Paperwhite 2013年モデルよりやや遅いように感じた。
書籍の場合
「画面のリフレッシュ間隔」を初期設定の[章]のままリフロー形式の書籍を読んでいると、次の章へ移るときや、画像のあるページだけリフレッシュする。注意深く画面を観察すると、他の電子ペーパー端末とは異なり、ページめくりの際に画面全体がほんの一瞬だけ細かい点で埋め尽くされるのが分かる。
書籍の画面更新は、14ページに1回必ずリフレッシュする Kindle Paperwhite 2013年モデルよりやや優れているが、最大4時間に1回のPRS-T3Sには及ばない。
コミックの場合
コミックの場合は、Kobo TouchやKobo Gloと同様に、毎ページリフレッシュする。しかし、リフレッシュ頻度を下げたPRS-T3Sと Kindle Paperwhite 2013年モデルは、前ページの残像が残る場合があることを思うと、どちらがよいかは正直悩ましい判断だ。
まとめ
フラットパネルを採用したことで、スマートフォンやタブレットと同様の操作感が得られ、従来の電子ペーパー端末とは違った読書体験を得ることができる。他社がやっていない方向性を模索する点は評価したいし、ハードウェアの進化も申し分ない。
一方で、特に読書時におけるソフトウェア面に進化があまり感じられない点が残念でならない。とりわけ、Kobo Touch投入当初から指摘されていた範囲選択のしづらさはKobo Auraでも改善されていない。
ハイライトやメモ機能、あるいはソーシャルリーディングの起点となる範囲選択は、「読むだけ」にとどまらない価値を提供するシンプルだが重要な機能だ。ここはおざなりにすべきではないと思うし、早急なアップデートを望みたい部分だ。
著者プロフィール:鷹野 凌
フリーライター。「日本独立作家同盟」呼びかけ人。ITmedia eBook USER、ダ・ヴィンチ電子ナビ、INTERNET Watch、マガジン航などに寄稿。ブログ「見て歩く者」で、電子出版、ソーシャルメディア、著作権などの分野について執筆。自己出版で『これもうきっとGoogle+ガイドブック』を1〜3巻まで配信中。
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