ハイブリッド総合書店「honto」を徹底解剖する:電子書店完全ガイド2013(5/5 ページ)
eBook USERがお届けする国内の主要な電子書店の徹底レビュー。そう、これは“書店のレビュー”だ。完全ガイド2013年度版の第6回目は「honto」を紹介する。
購入した本はどうやって保管されるか?
端末にダウンロードした電子書籍には基本的にDRMが掛かっていますので、バックアップコピーや移動はできません(SDカードへのバックアップ機能はなくなりました)。ただ、前回の調査時には、購入後のダウンロードに1年間の期限が設けられていましたが、その後一部を除き撤廃され、ダウンロードリストから何度でもダウンロード可能になりました。
1年間の再ダウンロード期限が残っている出版社は、SBクリエイティブ、河出書房新社、GUSH COMICS、光文社、小学館(コミックのみ)、少年画報社、筑摩書房、中央公論新社、ティアラ文庫、ハーレクイン(コミックのみ)、フランス書院、ぶんか社、プランタン出版、三笠書房などです(2013年12月17日時点)。これらの出版社の書籍以外は、端末の故障によるファイル紛失といった心配はありません。
評点:☆3.0
総括
紙と電子のハイブリッド型で、コンテンツ数も多く、比較的多機能なのですが、利用率では他の後発ストアの後塵を拝している電子書店です。何が原因なのかを、今回の調査中ずっと考えていたのですが、1つには「アピール不足」ということが挙げられると思います。
例えば、TwitterやFacebookなどのSNSに、honto公式アカウントは存在しません。「hontoからのお知らせ」はページの最下部に置かれ目立ちませんし、RSSも配信していません。関係者がメディアに露出して何かを語るといったケースも、少ないように思います。
機能的には、「電子書籍ストア」より「ネットストア」の方が比較的使いやすく感じることに気が付きました。電子書籍ストアの検索結果一覧表示は[シリーズ別]になっているのですが、廉価版とイラスト完全版などのバリエーションの違いが判別しづらく、シリーズ詳細ページを確認してから検索結果一覧へ戻るという操作を繰り返さなければならないケースが多々ありました。
作品詳細ページまでたどり着けば書誌情報は豊富ですが、検索結果一覧では情報が薄く一覧性に乏しい点などが、hontoを「本屋」らしくないように感じさせてしまう要因なのではないでしょうか。ポテンシャルは高いのに、もったいないように思います。
そして、他の電子書店は大幅なリニューアルをしたり、その後も細かい改善をし続けているのに、hontoはあまり変わっていないのが最も気になる点です。環境の変化が激しいWebサービスにおいて、変わっていないことは退化しているのと同義です。
著者プロフィール:鷹野 凌
フリーライター。「日本独立作家同盟」呼びかけ人。ITmedia eBook USER、ダ・ヴィンチ電子ナビ、INTERNET Watch、マガジン航などに寄稿。ブログ「見て歩く者」で、電子出版、ソーシャルメディア、著作権などの分野について執筆。自己出版で『これもうきっとGoogle+ガイドブック』を1〜3巻まで配信中。
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