電子書籍価格はいまだに著者・出版社にとって繊細な問題
作品の品質や著者を考えずに、電子書籍はたかだか数ドルで買えるものだと消費者が考えるようになったとき、何が起こるだろうか。
出版社および本の小売業者はホリデーシーズン中、多くのホリデーショッパー向けに作品を大幅に割引して提供していた。
自分の母親が電子書籍のクリスマス向け包装を外すのをイメージするのは難しいかもしれないが、より多くの消費者が遠く離れた人にギフトを贈答することに因んで電子書籍の携帯性、そしてオンラインショッピングにも関心を向けている。また、電子書籍購入に関する数々のソーシャルメディアポストによると、ホリデーギフトを贈答する人は、旅行中や親類を訪問する際に自身が読書するために電子書籍を購入する傾向にあるという。
Digital Book World向けのジェレミー・グリーンフィールド氏の投稿は、高級ブレンドコーヒー一杯と同じくらいの値段で提供されている有名なベストセラー書籍を取り上げ、従来の方法で出版された電子書籍の平均価格がこれまでになく安値になっていると続けて示唆する。
「結果、今週のベストセラー電子書籍の平均価格は5.27ドルで、これまでで最安値となっています。前回の最安値は9月上旬に記録された5.41ドルでした」。
投稿の中でグリーンフィールド氏が指摘するのは、消費者が電子書籍を極端に過小評価するレベルに危険なほど近づきつつあることだ。これは確かにホリデーショッピング割引の一例かもしれないが、消費者が電子書籍とギフトの贈答を結びつけなければ、これらの価格がホリデーショッピング向けのものだと考えないかもしれない。代わりに、消費者は作品の品質や著者を考えずに、電子書籍はたかだか数ドルで買えるものだと考える可能性がある。
『One Insular Tahiti』と『Witches of Etlantium』シリーズなど数々の著作を持つテア・アトキンソン氏は「数回ですが、Barnes & Noble・Apple・Amazonでより多くの注目を得られるか確認するため、『Water Witch』の価格を0.99ドルに引き下げたことがあります。Barnes & Nobleで少々注文が増加したようですが、Amazonでは2.99ドルで販売していたときと比較して減少したようです。より高価であることがより多くの注目を集めると思うこともあり、それは人々がより多くを支払い、より高価であることを求めるというよりも、価格と品質を等しく考えているからのようです」と語った。
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