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「世界に通用する電子書籍のビジネスモデルを」――楽天Koboは2014年こう仕掛ける

楽天Koboが出版社・書店向けに開催したカンファレンスで、コンテンツの海外展開における具体的なイメージ、書店連携の次の一手など、今年度Koboが仕掛ける施策のイメージが共有された。

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三木谷氏
三木谷氏。コンテンツのラインアップについては「だいたいあると全部ある、はまったくレベルが違う」とカンファレンスに参加した出版社などに協力を訴えた

 「世界に通用する電子書籍のビジネスモデルを」――4月21日、楽天Koboが国内の出版各社と書店向けに開催した「楽天Koboカンファレンス 2014 Spring」で楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長はこう話し、同社の電子書籍事業の展望を示した。

 Koboが運営する電子書店事業が日本での事業を開始してまもなく2年。楽天が創業して今年で17年目。三木谷氏は、発展を支える技術の進化をムーアの法則を引き合いに出しながら紹介し「今起こっていることは変化や進化でなく革命」と話す。

 すべてのものがインターネットにつながるInternet of Things(モノのインターネット。三木谷氏は“有機インターネット”と訳を当てた)の時代にあって、爆発的に増え続ける情報の活用、つまりビッグデータの活用を図る必要性を強く訴えた。

 「日本はちょっと遅れているかな」と国内におけるビッグデータの活用を率直な感想として話す三木谷氏。電子書籍もインターネット革命の一角であり、故にビッグデータをどう使うかが重要と述べた。

 また、本の位置づけについても言及。電子書籍とは紙の本を単に電子化するだけか、それとも読書そのものを変えるものかと問題を提起。米国では(電子書籍の普及なども加味して)読書時間が増えているとした調査会社のリポートを示しながら、「読書のスタイルもどんどん変わってきているのではないか」とし、少しその傾向とは異なる日本でもさまざまな施策で読書環境を変えていきたいとした。

 コンテンツ産業としての電子書籍市場については、インプレスR&Dが出している電子書籍市場予測を「コンサバティブな予測」(三木谷氏)とし、日本の書籍は国内で成長でき得るし、世界に向けて発信していける可能性があると話す。

 具体的な展開として、楽天が買収したViki(クラウドソーシングによる翻訳字幕を付加価値とする動画配信サービス)によるコンテンツの多言語化、9億ドルで買収した無料通話&メッセージアプリ「Viber」ユーザーへの配信を考えていると展望を語った。

今後の戦略:雑誌カテゴリの強化、アプリでのレベニューシェアなど

 事業戦略はブックス事業部上級執行役員の舟木徹氏が紹介した。舟木氏によると、2013年度はコンテンツの売上を高めることを目的にさまざまな施策を実施したが、そのハイライトとして以下のようなものが挙げられた。

  • 品ぞろえは2014年1月末に20万冊を突破
  • 楽天ブックスとのサイト統合による紙との連携を強化
  • 累積のユーザー数は約5倍、月間売上も1年前の約6倍に
  • 今後もコンテンツ推しでサービスを訴求する

2013年の振り返り

 今後の戦略はパートナーシップを重視した5つの戦略的エリアに注力。Aquafadasが持つソリューションを活用するなどした雑誌カテゴリの拡充のほか、セルフパブリッシングのサポートを視野に入れながら9月末をめどに楽天ブックスとのサイト統合を完全に1本化するほか、出版社向けBIツール(仮称:楽天ブックスダッシュボード)の提供、楽天チェックとの連携でKoboのモバイルアプリ経由のレベニューシェアモデルを構築していく考えが明かされた。


Kobo今後の戦略

 リアルの書店と連携し、書店の一角にスペースを設けて端末の販売やサポートを提供するO2O施策「書店内Koboストア」は、新たに有隣堂でも展開も開始し、現在約140店舗で行われている。舟木氏は書店連携について、コンテンツカードの店頭販売を見据えて取り組みが進んでいる「フューチャー・ブックストア・フォーラム」にも参加し、積極的な支援をしていきたいとも話した。

 またこの日、楽天Koboアワード 2014の表彰式も行われた。書店部門はベストパートナー賞に大田丸、ベストアカウント賞にトップカルチャー、ベスト書店賞にニューコ・ワンの蔦屋書店 熊本三年坂店が、出版部門は特別賞が紙と電子の同時刊行を会社の方針として掲げるサンマーク出版、ベストパフォーマンス賞が2013年度売上高の伸び率トップの西東社、ベストセールス賞が2013年度売上高トップの講談社を選出した。


楽天Koboアワード 2014ベストセールス賞を受賞した講談社野間社長と舟木氏

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