それいけ! デジコレ探索部「第7回 真夏の妖怪画特集」:まだ見ぬお宝を求めて
日本の貴重なデジタル化資料を公開している国立国会図書館デジタルコレクション(デジコレ)。本連載では、デジコレで見ることができるデジタル化資料の中からコレは! というものを探し出し、紹介していきます。
夏といえば?
怪談!
というわけで、今回は有名な浮世絵画家たちの描いた妖怪画を特集します。都内では、ちょうど妖怪画の企画展も開催されているようですね。
ここで予習してから見に行こうかしら。
企画展だけで見られる作品、デジコレだけで見られる作品、それぞれあると思いますので、どちらもチェックです!
鳥山石燕(1712年〜1788年)
『画図百鬼夜行』や『今昔画図続百鬼』『今昔百鬼拾遺』『百器徒然袋』などの作品で知られる狩野派画家。『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる水木しげるさんも、石燕の妖怪画に影響を受けているので、絵を見比べてみるのも面白いかも。弟子に喜多川歌麿や、第4回のデジコレで紹介した恋川春町などがいます。
今昔百鬼拾遺 全3巻
百器徒然袋 全3巻
月岡芳年(1839年〜1892年)
幕末から明治前期にかけて活躍した浮世絵師。師匠は江戸末期の浮世絵師・歌川国芳。落合芳幾、河鍋暁斎、歌川芳藤らは兄弟弟子に当たります。血や残酷なシーンを描いた無惨絵の描き手としても知られていて、「血まみれ芳年」とも呼ばれていました。
彼の作品で有名なものとして『新形三十六怪撰』という妖怪画の連作があります。作品の後半は芳年の死後、弟子が制作しています。芥川龍之介や江戸川乱歩、三島由紀夫などの文豪にも愛されていたようです。
落合芳幾(1833年〜1904年)
月岡芳年と同時期に生まれた浮世絵師。20歳を前に歌川国芳に師事し、芳年とともに人気を博しました(2人は無惨絵『英名二十八衆句』で競作しています)。
芳幾は浮世絵だけでなく、「東京日日新聞」(現在の毎日新聞)の発起人として活躍します。新聞には、1つの記事を錦絵で表現した「新聞錦絵」が描かれていて、芳幾の絵はその後の錦絵新聞のブームの火付け役にもなりました。
歌川国芳(1798年〜1861年)
上述した芳年、芳幾の師匠。雅号は「一勇斎」。江戸末期を代表する浮世絵師であり、ダイナミックな構図や奇抜なデザインなど現在でも高い評価を得ている絵師です。
水野忠邦による天保の改革の際には、幕府を風刺する内容の浮世絵を描いています。『通俗水滸伝豪傑百八人』という水滸伝シリーズを描き人気となっていましたから、彼の絵は非常に影響力があったのではないでしょうか。ちなみに歌川広重とは同い年です。
葛飾北斎(1760年〜1849年)
『富嶽三十六景』や『鳳凰図屏風』などで知られる浮世絵師。知らない人はいないくらい有名な人ですね。そんな北斎の代表的な妖怪画といえば『百物語』。現存するのは『お岩さん』『さらやし記』など5点のみですが、どれも妖怪が生き生きと描かれていて、北斎の画力の高さを物語っています。本来なら北斎の描いたものをお見せしたかったのですが、デジコレにはなかったため、1932年に出版された『浮世絵標準画集 第10巻』からご紹介。カラーじゃないのが悔やまれます。
河鍋暁斎(1831年〜1889年)
最後はこの人、狩野派の流れをくむ浮世絵師・河鍋暁斎。歌川国芳の弟子の1人ですね。彼は神田川で拾った生首を写生するなど、常軌を逸した行為で有名な絵師でもあります。浮世絵に対する熱意が行き過ぎた結果なのかもしれません。
彼は亡くなる20年も前から絵日記をつづっており、その内容は気候や文化など、当時を知ることのできる詳細な記録として重要視されています。
いかがでしたか? 私の一押しは月岡芳年です。師匠ゆずりのダイナミックかつ、躍動的な描写に惚れ惚れとしますね。オレンジ文字さんはどうですか?
えっと、私はちょっとこれから用事があるから……後よろしくね!
(美術館に行ったな……)オレンジ文字さんがいなくなってしまったので今回はこの辺で終わろうと思います。それでは皆さん、くれぐれも夏の夜道にはお気を……。
(出典=国立国会図書館)
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