「第66回ちばてつや賞」で大賞を受賞した『泣き虫とうさん』(サイ)が、Twitterを中心に話題となっている。
物語は、大学進学のために故郷・札幌を立つユタカと、整体院を営む両親の3人家族を中心に描かれている。父はおもちゃやゲームが好きな、よくいえば少年の心を忘れない大人。忘れっぽく、手のひらに文字を書く癖があるが、遊ぶ才能に長けている父は、子どものユタカにとってまさにヒーローとも呼べる存在だった。
ユタカには、一緒に上京する予定の恋人・リョウコがいる。高校生のときから東京に行くことを夢見て、ともに受験勉強を乗り越えてきた仲だ。
札幌を立つ前日。ラジコンを片手に、遊びに行こうと誘う父。必要だろうからと、普段から使っている鍋を渡そうとする母。しかし、憧れの東京行きを翌日に控えるユタカにとって、それらは札幌に置き去りにしていきたい記憶のようなもの。明日になれば、恋人との楽しい東京生活が待っている。
――両親が嫌いなわけではない。ただ、自分が東京に行った後、2人はどうなるのかといった思いがふとした瞬間によぎる。だからこそ、おもちゃにばかり夢中になっている父に当たってしまう。
子どもから大人に成長しようとしているユタカと、そんなユタカから見て頼りない父。この後、物語はどのように展開していくのか。それはぜひWebコミックサイト「モアイ」で読んでみてほしい。モーニングのWebサイトでは、ちばてつや賞の選考会議事録も公開されている。
小さいときは大好きなヒーローだったのに、自分の成長と共にそんな父親が疎ましくなっていく主人公の心理が上手く描かれているね。たった36ページなのに、しっかりドラマに仕立てる力量は見事。大事なシーンに「溜め」があればさらにグッと胸に残る作品になったはず。(ちばてつやさんによるコメント)
『泣き虫とうさん』(出典:Webコミックサイト「モアイ」)
関連記事
- 新生活を始めるあなたに捧げるコミックス 学生編 〜VIVO!〜
新生活の始まるこの季節にぴったりな作品を紹介します。 - 「真実を語らざることあたわず」――拷問吏の秘密の能力とは?
今回ご紹介するマンガは、ちょっと世界観が特殊。中世フランスを舞台に、必ず囚人を白状させる拷問吏を主人公としています。でも少年漫画なので、グロくないです! - 今、王道ファンタジーが熱い! ファンタジーアニメ特集
現在放送中のアニメの中から熱い展開を見せる王道ファンタジー作品を紹介。 - 可愛すぎる食い意地張りすぎ系女子が話題の『もぐささん』第1巻レビュー
華奢な体にひかえめな性格の女の子・百草みのり。ある日彼女がとんでもないボリュームの定食を食べる場面を見てしまった主人公から始まる、恋物語『もぐささん』第1巻をレビューします。 - ハイキュー!!だけじゃない 今熱いオススメバレーボールマンガ
現在週刊少年ジャンプで連載中の人気作品『ハイキュー!!』。この機会に他のバレー漫画を読んでみるのはいかがでしょうか?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.