300ppiのPaperWhiteはVoyageよりも買い? 「Kindle Paperwhite 2015」比較レビュー
6月30日に発売されたKindle Paperwhiteの最新モデルを、2013年モデル、上位モデルのKindle Voyageと比較してみた。
Amazon.comから6月30日にリリースされた電子書籍リーダー端末「Kindle Paperwhite」の2015年モデル。2013年モデル、Kindle Voyageと比較してみたい。
まずはそれぞれのスペックで特徴的な部分を簡単にまとめた。6インチで電子ペーパー部はE Ink Carta、4Gバイトのストレージなど共通項が多く、サイズや重さ、画面解像度が主な違いとなっている。
Kindle Paperwhite(2015) | Kindle Paperwhite(2013) | Kindle Voyage | |
---|---|---|---|
ディスプレイサイズ | 6インチ | 6インチ | 6インチ |
画面解像度 | 1072×1448ドット(300ppi) | 758×1024ドット(212ppi) | 1072×1448ドット(300ppi) |
採用電子ペーパー | E Ink Carta | E Ink Carta | E Ink Carta |
サイズ | 169×117×9.1ミリ | 169×117×9.1ミリ | 162×117×7.6ミリ |
本体重量 | 205グラム | 206グラム | 180グラム |
価格 | 1万4280円〜 | 1万280円〜 | 2万1480円〜 |
従来モデルからの最大の変更点は、画面解像度。これまでの212ppi(758×1024ドット)から、Kindle Voyageや楽天Koboが今夏発売予定の「Kobo Glo HD」と同じ300ppi(1072×1448ドット)となった。6インチデバイスを利用する想定視聴距離が今も昔も変わらないとすれば、ppiの向上は十分にシャープな解像感をユーザーに与える。
価格はキャンペーン情報付きのWi-Fiモデルが1万4280円で、2013年モデルに比べると4000円の値上げだが、2万円を超えるKindle Voyageと比べるとお手ごろ感がある。なお本稿執筆時点で、Kindle Paperwhite2015モデルはプライム会員だと4000円オフ(プライム無料体験中でもAmazonギフト券4000円分がプレゼントされる)である。Kindle VoyageやKindle Paperwhite2013モデルはこの対象外だ。
どっちが最新モデル? 見た目で比較
Kindle Paperwhite2015年モデルは上述した通り画面解像度の向上がメインだが、外見にも多少の変更が加えられている。
主な変更箇所は、表面/裏面のロゴ、ベゼルや底面ボタンの質感。ロゴ以外は写真では分かりづらいが、どちらが最新モデルか見分けがつくだろうか。
マンガや小説の見え方を比較
次に画面解像度について、3端末を並べて比較していく。今回比較に使った作品は以下の4タイトルだ。
- 文字もの(リフロー):『こころ』(夏目漱石)
- マンガ:『放課後のプレアデス Prism Palette』1巻(作画:Anmi 原案:GAINAX/一迅社)
- マンガ:『琴浦さん』5巻(えのきづ/マイクロマガジン社)
- 洋書:『alice's adventures in wonderland HTML Edition』(Lewis Carroll)
6インチ300ppiという高精細なディスプレイを搭載したKindle Paperwhite2015年モデルだが、表示品質はppiの高さだけで決まるものではない。電子書籍の画質を語るときは、表示するコンテンツデータの解像度やレンダリング性能なども本来は考慮すべきだ。この部分は十分に確立された検証方法がまだ存在しないのだが、今回は、コンテンツデータの解像度を少し考慮した。
例えば、作品がストアで配信されるときには、一定の仕様に沿った形で入稿されているが、同じようなページ数の作品でもファイルサイズが数十〜数百Mバイト違うことは珍しくない。そこで、どのストアでもかなり巨大なファイルサイズで提供されていると一部でうわさの「放課後のプレアデス Prism Palette」と、やや小さなファイルサイズの「琴浦さん」で比較してみた。端末は左から、最新モデル、2013年モデル、Kindle Voyage。
リフロー型の書籍はフォントサイズ別に比較してみた。フォントサイズが大きくなるにつれ、端末ごとの文字の見やすさに差が生じなくなっている。通常想定される利用シーンにおいては、どれも十分な表示品質といえる。
ライトの明るさは0〜24の間で調整できるため、ここでは左から0、12、24の3段階で比較している。
ライトは、Kindle Voyageが群を抜いて優秀。背景部分も一番白く感じられる。パネル部分にガラスが使われていることもあり、テキストとのコントラストが最もくっきりと表現されている。
独自開発した電子書籍用フォントが追加
英語の書籍を読む人が注目したいのは、最新モデルでは新フォントの「Bookerly」が追加されたこと(アプリではすでに提供済み)。PalatinoやCaeciliaなどのフォントと比べると、線に厚みがあり、角が丸くなったデザインとなっている。
また、2013年モデルと2015年モデルの洋書での比較画像を見ると分かるように、同じフォントサイズでも1ページに表示されている文章の量が異なっている。これは、新たな組版エンジンにより文字間隔やレイアウトが調整されているため。Amazonは、これらの新機能が追加されたことで、目の疲れが抑えられ、読書スピードが向上するとしている。
ページ遷移のスピードは? 動画で比較
次に、ページ遷移について動画で検証していく。
まず、Kindle Paperwhiteの2013年モデルと2015年モデルの比較だが、動画を見ても分かるように、最新モデルの反応がわずかに遅い。CPUなどのスペックが大きく変更されている様子はないので、画面解像度の向上による処理の遅れなのではないかと思われる。
Kindle Paperwhite2015年モデルとKindle Voyageの比較では、2013年モデルとの比較ほど顕著ではないが、わずかな遅れが見られた。
大きな違いがあったのは、Kindle Voyageの特徴の1つである物理ボタンを使って比較したとき。ボタンを使ったページめくりは、タップやスワイプに比べてスピードが段違いに速かった。
Voyageとどっちがお勧め?
上位モデルのVoyageと同じ300ppiのスクリーンを搭載したKindle Paperwhite2015年モデル。Kindle Voyageと比較すると、ライト、重量、ページ送りの速度など、約7000円高価なKindle Voyageが価格に恥じない差を感じさせるが、全体的な完成度も高く、スペックとコストのバランスがよい1台となっている。
海外ではCPUを高速化したVoyageの新モデルが11月にリリースされるとする予測記事もみられるようになってきた。解像度は必要十分な領域に到達し、より快適な使い勝手を提供するためのスペック向上が向こう1年のトレンドになってきそうだ。
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