SAPPHIRE 2001,TOKYO基調講演:mySAPプラットフォームでオープンなB2Bに乗り出すSAP

【国内記事】 2001.07.05

 SAPは7月5日,都内のホテルで同社のプライベートショウ「SAPPHIRE 2001,TOKYO」を開幕した。オープニングを飾る基調講演には,SAPの共同会長兼CEOを務めるヘニング・カガーマンCEOが登場し,ソリューションラインの拡大を続けるmySAPプラットフォームでオープンなB2Bに乗り出すSAPのコンセプトを明らかにした。

 基調講演に先立って,mySAP.comを紹介する「お楽しみビデオ」が上映された。近未来を描くこのビデオの主役は,「ニューエコノミー時代展」を見学に訪れた親子。博物館に入った彼らが初めに目にするのは,うずたかく積み上げられたデスクトップPCの残骸の山だった。これは,企業の拠点ごとで稼動するシステムを意味し,周りに張られた紙には「機会損失」の文字も見える。

 さらに彼らは,ドットコムバブルを象徴する「着飾ってワイングラスで乾杯する若者」や,サプライチェーンを無視したシステムのせいでほとんど稼動していない工場や倉庫なども見学する。こうして滅んでしまったニューエコノミーの時代。次の時代で成功する秘訣は「mySAP.comにログインすればいい!」という内容だ。

 ビデオ上映のあと,SAPジャパンの藤井清孝社長に紹介されて登場したカガーマン氏は,mySAPプラットフォームを使って異機種混在環境でB2Bのインフラを構築できると紹介。まずは,エンドユーザーの視点でも理解できるEIP(企業情報ポータル:いわゆるエンタープライズポータル)の話から,来場者をmySAPの世界に導いた。

SAPの共同会長兼CEOを務めるヘニング・カガーマン氏

 EIPは,最も短期間でROIを実現できると期待を集めているソリューション。社員ごとにパーソナライズされたWebブラウザインタフェースを通して社内情報にアクセスできるほか,業務に必要な外部の情報を参照したり,Webサービスを利用して業務の効率化を図ることも期待できる。

 そしてEIPの最大のメリットは,異なるシステムやアプリケーションと容易に接続できることだ。グローバル企業の多くは,SAP R/3と並行して,レガシーシステムやSAPのライバル企業のシステムも稼動させている。こうした企業は,mySAPプラットフォームを導入し,社員がSAPのEIPソリューション「mySAP ワークプレイス」を利用すると,異種システムに蓄積された情報にもアクセスできるようになる。

 カガーマン氏は,「EIPでエンドユーザーの情報を統合し,社員をエンパワーできる」と話して,いよいよ本題のB2Bインフラ構築と,そこから踏み出せるソリューションを語り始めた。

 異機種混在環境で企業がB2Bのインフラとなるシステムを構築するためには,さまざまなシステムを接続しなければならず,これには莫大な投資コストがかかる。これに対してmySAPプラットフォームでは,さまざまなシステムとmySAPを接続するだけでよくなるため,EAIへの投資を抑え,企業のシステム群を一元管理できるようになる。

 こうして企業がmySAPプラットフォームを導入すると,システムをバリューチェーンに開放できる。その拠点となるのがプライベートなエクスチェンジで,SAPは子会社のSAPマーケッツがコマースワンと共同開発した「Enterprise Buyer」などのアプリケーションを提供している。

 カガーマン氏は,プライベートなエクスチェンジを社外窓口として,パートナー企業とのコラボレーションを呼びかけた。また,企業間のパートナー関係は固定的なものでないと警告し,そのためにエクスチェンジ構築アプリケーションは柔軟でなければならないという。同様に,パブリックなエクスチェンジとプライベートなエクスチェンジを接続するときに,いつでも最適なエクスチェンジに切り換えられることも重要になる。つまり,経営判断を早くシステムに反映させなければならないのだ。

 同氏は,「ビジネスは,技術より上位にある。ビジネス面から決まった経営戦略を即座にシステムで実現することが最も重要なのだ」とも話している。システムがもてはやされる時代にあって考えさせられる一言だ。

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[井津元由比古 ,ITmedia]