SAPPHIRE 2001,TOKYO特別講演:ITだけでは武器にならない,知恵がなければただのオモチャ

【国内記事】 2001.07.06

 7月6日,SAPのユーザーカンファレンス「SAPPHIRE 2001,TOKYO」の特別講演にA.T.カーニーのアジア総代表を務める安田隆二氏が登場し,コミカルなスライドを示しながら,システムそのものよりそれを利用するノウハウの方が大切と解説した。

安田隆二氏,SAPジャパンの藤井清孝社長とはマッキンゼー時代からの仲

 IT企業は,クールでスマートなプレゼンテーションスライドを好む傾向がある。そんなプレゼンテーションに慣れている来場者は,安田氏の用意したシンプルでコミカルなスライドに面食らったかもしれない。

初めに出てきたのはこんなシート。「イラクは,ラクダと刀で戦った訳ではない」と安田氏

 安田氏は,上のスライドを示しながら,湾岸戦争で米国が見せつけたのは兵器の先進性ではなく,サプライチェーンの最適化とITの有効利用であるという見解を披露した。イラクは,兵器そのものの質・量は満たしていたものの,ITを活用して輸送を最適化することができなかったために敗れたという。

 そして同氏は,米国がITを使いこなしたのは,使うためのビジョンと戦略があったためで,こうした知恵があって初めてITを使いこなせると説明した。

 ITの投資額だけを見ると,日本は米国に決して劣っていない。しかし,投資しても効果を上げている企業はまだ少ないようだ。安田氏によると,ITを使ってBPR(Business Process Re-engineering)を実現できたと考えている企業は20%以下で,CRMのケースは3分の1以下という。

せっかく高価なオモチャをもらってもどうやって使ったらいいのか分からない

 せっかくITに投資しても,そのシステムが使われなければ意味がない。安田氏は,「“イット革命”が始まったから乗り遅れてはいけないとあわててしまい,戦略もないのにシステムを導入する企業は,武器を大量に持っていても使えなかったイラクと同じ」と一蹴。システムを有効に利用するためには,「現場のノウハウとITスキル」「明確な事業戦略」「システム導入後の企業を描く新しいビジネスモデル」の3つの知恵がそろう必要があるとした。

 安田氏は,「システム導入で単にシステムにフォーカスしてはいけない。社員を教育したり,対話の場を与えて知恵をつけさせるべきだ。そして,それが企業の武器になる」と話す。例えばノキアでは,本社の2つのビルを繋ぐ渡り廊下にサウナとカフェテリアを設置し,社員がコミュニケートできる場を設けているという。

 システム導入でコストを削減することだけを期待するのではなく,新しく組織の知恵という切り口から企業全体を考えることで,社員をエンパワーし,収益の拡大に結びつけることも期待できる。

「米国と比べて日本の知恵が劣っているとは思えない。しかし,日本企業は変革を恐れている。今まで,ITの時代にIT企業が伸びると言われてきた。しかしこれは間違い。今は一般企業が知恵を武器にITを使って成長する時代だ。勇気を持って変革してほしい」(安田氏)

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▼SAPジャパン

▼A.T.カーニー

[井津元由比古 ,ITmedia]