シスコがサービスプロバイダー向けの新構想「NGIR」を発表
| 【国内記事】 | 2001.07.30 |
シスコシステムズ(シスコ)は7月30日,サービスプロバイダー向けに新たな取り組みとして「Cisco NGIR(Next Generation Internet Routing)プラットフォームソリューション」を発表した。
NGIRのプラットフォームとなるのは,同社のフラグシップルータ「Cisco12400シリーズ」および「同7600シリーズ」「同10000シリーズ」「同7400シリーズ」で,コアバックボーンからネットワークエッジまでをカバーする。シスコは今週から国内での営業活動を開始するほか,IOSのアップグレードによるNGIR関連の機能追加も予定している。
NGIRは,MPLS(Multi Protocol Label Switching)などの技術をベースにした,ルータの拡張機能の総称といえるだろう。サービスプロバイダーが新たなサービスを迅速に,柔軟に展開できるようにするのがその狙いだ。
「エンタープライズや光ファイバで構成されたコアネットワークには十分な帯域が供給されているが,その間のエッジやメトロネットワークではまだ帯域が足りない。必ずしもネットワーク全体に十分な帯域があるわけではなく,いわば“帯域ギャップ”が存在している」(NGIRのリリースに合わせて来日した米シスコシステムズのマーケティング担当副社長,ロバート・レッドフォード氏)
この「帯域ギャップ」を解決するソリューションがNGIRだという。具体的なメリットとしては,Adaptive Network Processorsという新技術によるパフォーマンスと柔軟性の向上,DPT(Dynamic Packet Transport)によるアベイラビリティの向上および冗長性の確保が挙げられる。特に,DPTでリングを構成すれば,SONETリング並みの障害回復機能が実現されると言うことだ。
VoIPや動画といったアプリケーションにとって,トラフィックの遅延や揺らぎは大きく影響する。これに対しMPLSを実装した同社のルータ群は,そうした揺らぎを吸収し,高品質なサービスを提供できるとレッドフォード氏は語った。
さらに,現行のMPLS機能を拡張し,ATMやフレームリレー,あるいはイーサネットなど,レイヤ2の伝送方式に関わらず,シームレスにMPLSトラフィックを伝送する「Any Transport Over MPLS(AToM)」機能の追加も予定されている。さらに,現在仕様策定中の「G-MPLS」,DiffServで優先順位を付けたトラフィックをMPLSフローと関連付ける「DiffServe-aware MPLS Traffic Engineering」といった拡張も追加される見込みだ。
NGIRでは他にも,VSRによる回線収容密度の向上,XMLとIOSのインタフェースを統合してシングル管理を可能にする「IE2100」,Unified Control Planeによる自動プロビジョニング機能などが実現される。サービスプロバイダーにとっては,投資保護の点でもメリットがあるという。
シスコのマーケティング統括本部でサービスプロバイダーマーケティングを担当する木下剛氏は,「ブロードバンドの普及によって,音声やビデオといった新しいアプリケーションが登場する。NGIRはそうした新たなアプリケーションを支える新しいネットワークを実現する」と述べた。木下氏によれば,NGIRはまた,今後成長の見込まれる広域LANサービスや広域イーサネットサービスの処理に最適化されていると言う。
シスコはこのNGIRによってエッジからコアに至るソリューションを強化し,サービスプロバイダー市場への働きかけを強めていく。究極の目的は,エンドツーエンドのMPLS環境の実現だ。
MPLSは,IPパケットに目印となる「ラベル」を加えることによって「フロー」を設定し,帯域やセキュリティを確保しながらトラフィックを転送するための技術だ。既に複数のインターネットサービスプロバイダーがこの技術を利用してIP-VPNサービスを展開している。シスコのほか,ジュニパー・ネットワークス,エクストリームネットワークス(別記事参照)などがMPLSをサポートしているが,今後は複数のネットワークをまたいだMPLSの実現や互換性の確立が課題とされている。
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[高橋睦美 ,ITmedia]
