Case Study:ATG Dynamoで購買の途中破棄率を激減させた日比谷花壇

【国内記事】2001.11.19

 アートテクノロジーグループ(ATG)は先週,都内でユーザー向けに同社の新製品「ATG Dynamo 5.5」を紹介するセミナーを開催。同セミナーでは,ATGのソリューションを活用した日比谷花壇の事例が紹介された。

 日比谷花壇は,創業明治5年,会社設立は1950年(昭和25年)という歴史のある生花販売店の老舗。「花と緑を通じて,真に豊な社会作りに貢献する」をビジョンに,全国約190店舗に及ぶフラワーショップの展開やフラワーギフト・フラワーデザインの企画・制作・販売,フラワーデザインスクールの経営などを展開している。

 中でも成長著しいのが1995年にスタートしたインターネットによるオンライン販売だ。現在,月間の利用者数がおよそ5万ユニークユーザーで,2000年9月末には約1億3600万円を売り上げたという。

 しかし日比谷花壇では,インターネットビジネスのさらなる拡大を目指し,Webサイトのリニューアルを計画。ユーザービリティの向上と,将来に向けたパーソナライゼーションされた顧客サービスの実現することの2つを目的に,ATGのソリューションを導入した。

ユーザビリティの向上

 ユーザービリティの向上にあたり同社は,まずWebサイトの現状についての検証を行ってみたという。

 その結果,セッション当たりのページビュー(PV)の平均が27.27PVだった。これは,同社の思惑である平均15PVからすれば高い数値であり,利用者が充実したコンテンツを楽しんでいると考えられるが,逆にサイト内のナビゲーションが悪く,利用者が迷っているとも考えられる。しかし日比谷花壇では,メールによる問い合わせの24%が操作性に関する内容だったことから後者と判断したという。

 また驚かされたのが,ショッピングバスケットに商品を入れるところまで進んでおきながら,約90.3%の利用者が購入を途中でやめてしまっていたことだ。米フォレスターリサーチの調査では,一般的なショッピングバスケットの途中破棄率は,65〜70%くらいと報告されている。

日比谷花壇のEC事業部副部長,五十嵐豊氏

 日比谷花壇のEC事業部副部長,五十嵐豊氏は,「Webサイトの売り上げはそれなりに伸びていた。しかしそれは,インターネットそのものが拡大していることが要因だっただけ。われわれのWebサイトは,利用者に高い敷居のサービスを提供しており,このままだと顧客が離れていくところだった」と話す。

 こうした検証結果から同社では,現在のWebサイトから176項目の改善点を洗い出し,新しいWebサイトに反映させることにしたという。

 この結果,リニューアルから1カ月間で,セッション当たりのPVが15.07に減少,逆に滞在時間は4.01分から9.16分に増加したという。驚くべきは,購買の途中破棄率で,90.3%から40.3%に減少している。つまり,使いやすいWebサイトにリニューアルしたことで,PVが減少し,途中破棄率が減少したことから滞在時間が伸びたと分析することができる。

 さらに売り上げでは,対前年比で250%以上の増収を実現している。

将来に向けたパーソナライゼーション

 一方,将来に向けたパーソナライゼーションされた顧客サービスの実現では,「スピード」「コスト」「統合」の3つのキーワードが重要という。利用者は,鮮度の高い花を簡単かつ迅速に購入し届けたい,低価格でさまざまな情報もほしいと考えているからだ。

 こうした利用者のニーズに応えるには,毎日の新鮮な情報提供や業務サイクルの短縮をはじめ,問題解決の迅速化などの業務のスピード化が必要という。また,宣伝コストや素材調達コストの削減を解決するために,社内の資産統合や利用者コンタクトチャネルの統合による利便性の向上が必要であり,「多頻度,多品種,小ロットの商品サービス」が必要になる。

 このような目的を達成するためにはIT技術が不可欠であり,顧客のニーズの把握とニーズを満たすシナリオを実現するための仕組みが必要という。これが実現可能なソリューションが,シナリオをベースとしたe-ビジネス構築プラットフォームである「ATG Dynamo」だったという。

 ただし五十嵐氏は,「将来的なパーソナライズを実現するためには,IT技術は不可欠。しかしIT技術は,あくまでもツールであり,商品企画サイクルの短縮や在庫コントロール,物流機能,商品製作ライン,情報収集・伝達ラインなど,既存の社内機能を根本的に見直すことも重要」と話している。

「価格半分,需要4倍」の実現

 こうした社内の改革により日比谷花壇は,「価格半分,需要4倍」の実現を目指すという。これは,日本の1世帯当たりの花の消費量が欧米に比べ4分の1,とされている調査報告に基づくもので,日本の花の消費量を欧米並みにという日比谷花壇の願いという。

 五十嵐氏は,「すべての原点は顧客のニーズ。現状のWebサイトで満足し,顧客の声や行動に細心の注意を払わなければ,顧客はすぐに逃げ出してしまう」と話す。

 同氏はさらに,「ECは,既存のビジネスフローをそのまま活用してもうまくいかない。IT化ツールの特性を十分に引き出せる組織作りやビジネス構造の変革など,根本的な見直しも必要」と付け加える。

「最も必要なのは,熱い情熱と自らの商品,サービスに誇りをもつことだ」(五十嵐氏)

Case File

企業名:日比谷花壇

本社所在地:東京都港区

ニーズ:使いやすさの向上と,購買の途中破棄率の引き下げ。

ソリューション:ATGのソリューションの導入により,将来的にパーソナライゼーションされた顧客サービスを実現できる新しいWebサイトを構築する。

今後の展開:顧客が必要とする情報をダイナミックに提供し,顧客のニーズを柔軟に分析し次のアクションに移れるシナリオ駆動型のe-コマースを実現する。

URL:http://www.hibiyakadan.com/

Tool Box

ATG Dynamo Application Server,ATG Dynamo Commerce Server,ATG Dynamo Personalization Server,Solaris,Oracle,ATG Dynamo Scenario Server(予定)

関連リンク

▼アートテクノロジーグループ

[山下竜大 ,ITmedia]