Interview:「インテルのテクノロジを通じて高い投資効果を」
| 【国内記事】 | 2002.4.10 |
インテル・アーキテクチャ(IA)をベースとしたパートナーおよび顧客の支援サービス,インテル・ソリューション・サービスのゴールとは何だろうか。その行方について,説明会に合わせて来日した米インテルのリック・エチェヴェリア氏に聞いた。
ZDNet インテル以外にも,ソリューションセンターを構築し,顧客にさまざまな支援サービスを展開しているシステムインテグレータ(SIer)やベンダーがあります。これらのサービスと,インテル・ソリューション・サービスとの違いは何でしょう? また場合によっては協力することもあるのでしょうか?
エチェヴェリア まず差別化ですが,インテルのテクノロジをベースとしたソリューションの最適化を通じ,顧客のインテルテクノロジへの移行をビルディングブロックベースで進めていくことに特徴があります。また,われわれ自身がテクノロジの方向性を持っていることもポイントです。
一方コラボレーションですが,既に色々行っています。ソリューション・センタはあくまで道具であって,目的ではありませんから。たとえばIBMなど幾つかの企業と協力して,ソリューションを導入した実績が何件かあります。
ZDNet インテル・ソリューション・センタで想定する企業顧客とは,具体的にどういったものでしょう? たとえば金融など,何らかの垂直市場を想定していますか?
エチェヴェリア ターゲットは,あらゆるエンタープライズです。特定の垂直市場に絞ることなく,あらゆる層に水平横断的なアプローチを取っていきます。インテルのテクノロジをベースに,新しいソリューションを構築しようとするときに直面する,信頼性や拡張性といった課題に対し,SIerなどと協力しながらその問題を解決し,新しい技術への移行を手助けしていきます。
ZDNet 企業顧客が抱えているその“課題”をもっと具体的に説明してもらえませんか?
エチェヴェリア さまざまなプロセッサやハードウェアの上で,いかに管理性が高く,また拡張性のあるプラットフォームを構築するかということです。そのための問題は2つあります。1つは,幾つかのプラットフォームにおけるアベイラビリティの欠如。もう1つは,ナレッジの欠如です。
そこでわれわれは,BKM(Best Known Method)を通じて,拡張性があり,アベイラビリティの高いソリューションに,いかに最適化された形で近づいていくかということに専念しています。
ZDNet となると,やはりインテル・ソリューション・センタの最大のポイントは,BKMになりますね。
エチェヴェリア そうですね。実践におけるナレッジが鍵になります。ですがそれ以外にも,最新のインテルテクノロジにアクセスできること,インテル・ソリューション・センタはまた日本だけでなく世界中に接続されており,他の国や地域のテクノロジにアクセスできるという環境も見逃せません。
ZDNet 記者説明会の中でも触れていましたが,今後力を注ぐ分野は?
エチェヴェリア 2つあります。1つは分散ソリューションで,ここではWebサービスが不可欠のものとなります。サーバとサーバだけでなく,デスクトップPCやワイヤレスなどあらゆるものが会話するようになりますから,ここではさらに多くのプロセッサパワーが必要となります。
もう1つはIA-64,Itaniumプラットフォームのエンタープライズにおける展開を促進することです。われわれも,また他の人々もこの目的に向けて積極的に取り組んでおり,相当の投資も行っています。
ZDNet IA-64の導入に向けた課題とは何でしょうか? またそれを解決するためにどういった取り組みがありますか?
エチェヴェリア 確かに64ビットプラットフォームの実現に向けた課題は多いですね。ですがわれわれも,また業界全体も,IA-64を現実のものにしようと一生懸命に取り組んでいます。
課題ですが,1つにはレガシーな環境が残っている場合が多いことが挙げられます。2つめはアプリケーションのアベイラビリティです。いずれも長期間のデザインサイクル,長期の投資が必要です。われわれとしては,ポーティングの支援などに向けて,数年がかりの大きな投資を行っています。ただ,このレベルで勝利を収めるためには,もっと多くの時間が必要でしょう。
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| IA-64実現の時期は残念ながら明言しなかったエチェベリア氏(左)と,日本でインテル・ソリューション・センタを担当するパトリシア・ミロン氏 |
ZDNet では,IA-64が現実の環境で利用できるのは,いつ頃になるとお考えですか?
エチェヴェリア 私はリスクをとるほうですが,この質問ばかりは……リスクが大き過ぎるので,答えは控えさせてください。私がリタイアする前であることだけは確かでしょうが(笑い)
今後,さらに多くの(64ビット環境向けの)アプリケーションがリリースされていくと思います。OSではマイクロソフト(のWindows)やLinuxがありますし,SQLサーバや,最近ではWebアプリケーションサーバの分野では重要なプレイヤーであるBEAシステムズが64ビットプラットフォームへのコミットを表明しました。今後も業界全体で,こうした努力が進行していくでしょう。
ただ,こうしたソリューションを導入し,利用可能な状況を実現するためには,開発者側にも異なるツール,異なるアプリケーションが必要になります。それらを組み合わせ,いつ,どのように提供するかが課題です。
繰り返しますが,インテル単独ではなく,OEMパートナー,SIerといったパートナーをはじめ,業界全体がItanium,IA-64に向けて取り組んでいます。ただ,予想よりも時間がかかっているだけです。
ZDNet Webサービスの分野ではどういった取り組みがあるのでしょう?
エチェヴェリア 過去も,また今も,われわれは標準化を大事にしており,積極的に標準化団体に参加してきました。Webサービスの分野でもそうです。プラットフォームのパワーを生かしながら,Webサービスの導入を手助けできるよう努力しています。
ZDNet IA上で動くLinuxについては何か活動はありますか?
エチェヴェリア ワールドワイドで見れば,SolarisからLiuxへの移行事例もあります。ただ,われわれが注力しているのはあくまでインテルのテクノロジであり,その上で動くOSやアプリケーションは顧客が選ぶものです。われわれは,顧客がOSやハードウェアプラットフォーム,アプリケーションに対する選択肢を持ち,柔軟性を実現できることを目的に投資してきました。その結果として,顧客が健全なe-ビジネス環境を作り出し,そこにインテルのテクノロジが導入されることが願いです。
何もLinuxだけではなく,マイクロソフトのWindowsなど,つまりはSolarisからIAへの移行を手助けすべく努力しています。価格性能比,柔軟性などさまざまな点で優れているインテルテクノロジを通じて,顧客が高い投資効果を実現できるようにします。
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[聞き手:高橋睦美, ITmedia]

