i2のSCM導入で61拠点の物流問題を解決したタイヤメーカー
| 【国内記事】 | 2002.4.26 |
4月24日,i2テクノロジーズのプライベートショウ「i2 PLANET 2002 TOKYO」のインダストリーセッションに,クーパータイヤで運用調査部事業担当マネジャーを務めるジョージ・マカフィ氏が登場し,i2テクノロジーズのサプライチェーン管理ソフトウェアの導入事例を公表した。
クーパータイヤは,自動車タイヤを中心に,ゴム製部品を製造販売する従業員数2万3000人の自動車部品メーカー。1999年から今年にかけて,自動車部品関連の企業を3社買収。これにより,当初,全米で11カ所しかなかった生産設備および物流拠点が,計61カ所に増えた。SCMの導入を決めたのは,急増した拠点間を結ぶ物流網を,統合的に管理するためである。
マカフィ氏は,「工場や物流拠点が61カ所に急増すると,トラックの運行管理や製品在庫の管理が難しくなり,物流経費ばかり膨らんだ。これでは,買収による売上増より,経費増の比率が上回ると判断し,SCMソフトの導入を決めた」と話す。
導入を決めたのは,2001年5月。13社のSCM企業から見積もりを取り寄せ,検討した結果,最終的にi2が残った。理由は,1.マイクロソフト製品との親和性が非常に高い点,2.価格体系が合理的で,投資経費を節減できる点,3.不具合を抑え,安定して動くシステムを構築できると思われた点だ。
導入を決めてから7カ月後の2001年12月に稼働した。今回は,製品の出荷から顧客の手元に届けるまでの,限られた部分SCMに焦点を合わせたため,構築期間5カ月,試験期間2カ月の,わずか7カ月で実稼働に漕ぎ着けた。
SCM導入前の最大の課題は,11カ所から61カ所に拠点が増えたことで,流通在庫が急増したことと,製品があちこちの拠点に散らばっていたため,少量多品種の製品を求める顧客に対して,ひとつひとつトラックを走らせる必要に迫られたことだった。自動車部品ひとつだけをトラックに乗せ,あとは空荷状態で走らせることも頻繁に発生したという。帰りは完全な空荷で帰ってくる……。在庫が分散していたので,顧客が必要なときに,商品を届けられないこともしばしば起きた。
これでは,在庫リスクと運送経費だけが上がり,顧客満足度は下がる。
クーパータイヤでは,SCMを導入することで,まず物流網の効率化に着手した。マカフィ氏は,「61カ所のうち,4カ所が生産工場。SCMでは,需要が発生した場所に対し,どこで生産して,どのような経路で配送すれば,最も短い納期で,最も経費を抑えられるかということを割り出してくれる」と話す。
「導入前は,需要が発生した地点に,とにかく製品を届けることが至上命題だった。前もって物流経費を予測することなど,まるで不可能だった。だが,SCM導入後は,90%以上の確率で,正確に物流経費を前もって算出できるようになった。需要地域の発見後,どこから,どのような部材を集めて,どの経路で需要地域に,どのくらいの経費で製品を届けられるのかを,正確に予測できるのがi2のSCMだ」(同氏)
このSCMシステムを実現するには,クーパータイヤ1社だけでは無理だ。将来的には,部材の取引先や販売代理店などを巻き込んだシステムをつくらなければ,予測精度が高まらない。こうした仕組みが完成してしまえば,最適な生産場所から,最短の経路を自動的に割り出して,最も納期が短い運送経路を算出するSCMシステムが出来上がる。
実際,目に見える形で大きく変わったことのひとつに,製品をトラックへ「相い積み(混載)」できるようになった点がある。
例えば,ニュージャージー州の生産工場から,東海岸にある得意先4カ所に製品を運ぶとする。i2のSCMを導入する以前は,トラック4台に,得意先それぞれの必要とする製品を積み込んでいた。だが,SCMで,どこの得意先が,どの製品を必要としているかを計算することで,1台のトラックで,得意先4社分の製品を,配送順に積み込むことが可能になった。
このことで,従来,1563ドルかかっていた運送経費を1106ドルに減らした。マカフィ氏は,「29%の節約は,驚くほど大きな経費節減ではないものの,日々の業務のなかで,この種の節約を積み重ねることが大切」と話す。
他には,i2のSCMによって,61拠点に分散している在庫を減らした。同氏は,「そもそも,製造業は,工場の稼働率を落とさないために,どうしても過剰に生産する傾向がある。予測できなかった需要に対応するため,倉庫に製品を蓄積する。製品は,必要としている顧客の手元に届けてこそ,収益に変わる。倉庫に寝かしているのは,貴重な収益源を眠らせておくのと同じだ」と,生産過剰と在庫過多に陥りやすい製造業の体質を指摘する。
「1.需要が発生している近くの工場に,必要な資材を集めて生産する。2.生産した製品は,倉庫に溜めず,直接顧客の手元に届ける。3.工場から見て,納品先が同じ方向であれば,積み卸しの順番まで計算にいれて相い積みする。――SCMは,この計算を瞬時に演算し,的確な答えを導き出す。もし,これを手作業で計算しようとすれば,たいへんな作業だ」(同氏)
クーパータイヤでは,生産場所から得意先までの最適な輸送経路をSCMで算出し,最小限のトラックで,効率的な運送を実現した。また,SCMをつかって演算した結果を元に,全国に散らばる工場や営業所,物流拠点を,得意先の分布に合わせた形で整理統合できた。これにより,トラック1輸送あたりの走行距離を平均60マイル縮めることに成功した。
マカフィ氏は,「物流網の運用担当者として言わせてもらえば,SCMなどのツールは,なるべく早い段階で導入したほうが結果的に安くあがる。経営陣を巻き込んで,いちど検討してみるといい。当社では,i2のSCMを導入したこで,61拠点を結ぶ物流問題を完全に解決した」と助言する。
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[安藤章司 ,ITmedia]
