エンタープライズ:ニュース 2003/12/08 13:08:00 更新


好みの構造を探るデータマイニング〜Clementineを用いたテキストデータの分析〜

 11月13日、14日の2日間、都内のホテルで開催されたエス・ピー・エス・エスの年次カンファレンス「SPSS OpenHouse 2003」。初日の事例セッションで東陶機器のマーケティング統括部、小代禎彦氏が、同社のテキストマイニングを活用したマーケティング成果を発表した。

 11月13日、エス・ピー・エス・エスが都内のホテルで開催した年次カンファレンス「SPSS OpenHouse 2003」において、東陶機器のマーケティング統括部、小代禎彦氏が、同社のテキストマイニングを活用したマーケティング成果を発表した。

 東陶機器は、TOTOブランドで知られる大手メーカー。便器トイレタリーのイメージが強いが、そのほかのトイレ周りの機器や、バス・キッチン・洗面用品、さらにはニューセラミック、食器洗い乾燥機なども開発・製造している。

 今回発表されたのは、Clementineと茶筌を使ったテキストマイニングの成果で、ネタ元は浴室に関するインターネットアンケートの結果。エンドユーザーのバスルームの好みを左右する要因を導き出し、優れた新製品を開発するヒントにするために行われた。この調査では、バスタブの形状だけでなく、トータルな空間としてのバスルーム全体の雰囲気やコーディネートが重視され、サンプル写真をベースに行われた。

 本調査に先立って行われたプレ調査では、アンケート回答者が浴室空間のサンプル写真12枚を一対比較で評価。「好き・嫌い」なバスルームを選択し、その理由を提携自由記述で収集した。この調査では、「好き」も「嫌い」も、「(A)が(B)で、(C)感じがするから」のA、B、Cの部分に自由に記述してもらう形を取っている。

 今回のカンファレンスでは、その生データをExcel場上で見せてくれた。例えば、「A=色、B=暖色系、C=暖かい」「A=全体の色彩、B=シック、C=落ち着いた」など。

 中には、Aの部分だけにBやCを含めて回答した人もいて、小代氏は「こういう人もいるんですよね。プロフィールを見ると、たいていが50代管理職。人の話を聞かない……」と会場の笑いを誘う。こうしたケースを防ぎたいと考えるならば、データ入力時点で規制しておくのが効果的だ。これは、Webサイトのプログラム次第で何とでもなるのだが、どうやら回答者を信じすぎたか。

 さて、この調査では、困った部分もあった。TextMining for Clementineでは、抽出した言葉のゆれを吸収するための類似語置き換え機能がうまく機能しないのだ。このため、小代氏は、単語の置き換え辞書を作成して類似語をまとめる作業を行った。なお、類似語置き換え機能は、元々の製品がフランスのベンダーが開発したものであり、日本語環境に不慣れなためで、次バージョンでは改善される見込みという。

 本題に戻ると、この辞書では、例えば、和風と洋風が組み合わさった姿を表す「和洋」「和洋折衷」は、すべて「和洋折衷」とし、「和風イメージ」「和風」「和風の」「和式」などは「和風」に統一した。シソーラスを改善しながら、単語の出現頻度を出す。そして、言葉の連関図を作成した。この中から、出現頻度の高い単語を中心に、バスルームを評価するための言葉を抽出。本調査へとつなげた。

 その本調査は、有効回答547人という規模で行われた。小代氏によれば、その中で選好度を分析するためには全員の評価を参照することが必要だが、ポジショニング分析のための形容語評価は数十人分で事足りるという。

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東陶機器株式会社 マーケティング統括部 小代 禎彦氏


 TOTOがこの調査で意識したのは、購入可能性の高い人の評価を製品開発につなげることと、集合住宅用など、エンドユーザーが不特定の場合に嫌われないバスルームを提供することだった。このため、購入可能性の高い「好き」とした人の評価を中心としつつ、「嫌われないデザイン」も希求した。

 調査された浴室は10パターン。それを、「人気」「好みが分かれる」「不評」の3つに分類した。結果「明るくて木質系の浴室」が人気であることが導き出された。

 ただ、木質系の浴室をシステムバスでどうやって作るか。その開発が次の課題となる。好まれるのがわかっていても、作れなければ意味がない。また、木を使うのなら、手入れも大変だろう。実際に使った感想ではなく、理想の姿を求めるユーザーに対するアンケートの難しさが見て取れる。

 茶筌は、概ねうまく使いこなせたが、TextMining for Clementineにはまだまだ改善余地がある。「かかりうけ」と「否定」を切り出せる機能が欲しいというニーズだ。

 「例えば、“A”は好きだけれど、“B”ではないところが嫌い、という文では、“Aが嫌い”と認識される可能性があります。調査を正確に行うためには、結局すべての回答を読まなければなりません」(小代氏)

 こうした不満点もあるものの、茶筌とClementineを使ったテキストマイニングは、今後さらに改善されていく。小代氏も、それに大きく期待している。だからこそ、こうした場で、成果を発表したのだろう。

 この発表では、生データも見せてくれて、非常にわかりやすく、多くのマーケティング担当者にとって参考になるものだった。会場も立ち見が出るほど。初日の最後の時間を使った講演だったが、「最後を飾る」の「飾る」が、非常にしっくりきた内容だった。

[ITmedia]