エンタープライズ:ニュース 2003/12/08 13:10:00 更新


「進研ゼミ小学講座のCRM」〜通信教育のリテンション施策〜

 11月13日、14日の2日間、都内のホテルで開催されたエス・ピー・エス・エスの年次カンファレンス「SPSS OpenHouse 2003」。2日目の事例セッションで、ベネッセコーポレーションの児童教育カンパニー、橋本英知氏が同社の取り組みについて語った。

 11月14日、エス・ピー・エス・エスが都内のホテルで開催した年次カンファレンス「SPSS OpenHouse 2003」において、ベネッセコーポレーションの児童教育カンパニー、橋本英知氏が同社のCRMへの取り組みについて語った。OpenHouseには毎年参加しているという橋本氏。今回は講演を聞く側から話す側へと回った。このため、「何が聞きたいか」という聞く側のニーズをうまく取り込み、興味深いセッションとなった。

 ベネッセコーポレーションは、言わずと知れた通信教育会社。乳幼児向けのたまごクラブ、ひよこクラブから、進研ゼミ、語学教育など、「ゆりかごから墓場まで」の教育ビジネスを展開している。今回データマイニング対象となったのは、進研ゼミの小学生向けの講座だ。

 この進研ゼミ小学講座では、「塾に変えたい」「飽きた」「教材を活用できない」「受講費が高い」などが代表的な退会理由となっている。この結果を、ベネッセコーポレーションでは、「教材がたまる」ことに端を発していると見た。また、入会・継続の意志決定者が子どもであるのに対し、退会は保護者が決めるともいう仮説も立てた。

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株式会社ベネッセコーポレーション 児童教育カンパニー 橋本 英知氏


 そして、ベネッセコーポレーションは、これらに加わるさまざまな複合要因によって、継続受講させるための基本戦略を練った。Active Contactというテーマを作り、受動的な体制から、能動的な働きかけへと転換。顧客満足度、マーケティング、組織生産性の3つの観点から、コミットメント、関係性の向上、およびオペレーション単価の低減を目指した。

 実際に、マーケティングのやり方を変えた。これまでは、4月や7月など、新規契約を取りやすい月に注目してマーケティングしていたが、個人の状態変化に応じて柔軟に手を打つことにした。また、会員をグルーピングしておき、特定の会員層だけに打っていたキャンペーンを、グループごとに細分化・個別化した展開へと変えた。

 さらに、キャンペーンや努力賞の付与、親の関与を促す施策などで、外的要因を高め、一方で、担任制の「赤ペン先生」との関係性・信頼性を高めると共に、その価値を理解してもらうことも目指した。これで、提出行動を促したいと考えたためだ。

 これらの行動のベースとなる受講者のセグメンテーションに、今までの提出率、受講期間を使った。これにより、入会したばかりの人の提出率と、受講期間の長い人の提出率を比較したりできる。例えば、毎回提出する人は25〜30%、初めは提出していても突然提出をやめる人が約50%、はじめから提出しない人が25〜30%程度いる。このうち、最もケアしなければならないのは、突然提出をやめた人となる。

 この約50%をさらにセグメンテーションする必要がある。初めだけしか出さなかった人、2回の人、3回、4回……とセグメント化すると、3〜4回の人の継続率が悪かったという。このセグメント化は、極めて詳細だ。例えば、「飽き」の度合いを見るために、「どんどん字が汚くなってきている」という要因も織り込まれている。マンツーマンの指導を徹底している賜物だろう。

 こうした詳細な顧客情報分析によって、ベネッセコーポレーションは、例えば赤ペン先生から手紙を送ってもらうなど、受講者である小学生、保護者のどちらとも密な関係を築こうとしている。通信教育でも、個々の生徒をきちんと把握することで、心の通った授業ができるのかもしれない。

[ITmedia]