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» 2007年11月24日 00時15分 公開

Weekly Access Top10:無線LANの「ただ乗り」どうなる!?

総務省によると、無線LANのアクセスポイントは日本全国で1万5000カ所以上あるという。至る所に飛び交うLANを我々は見ることができない。だが、いとも簡単に「ただ乗り」できてしまうのだ。

[伏見学,ITmedia]

 今週は、第4位にランクインした5割強が他人の無線LANに「ただ乗り」――Sophos調査という記事を取り上げたい。

 英Sophosの調査によると、回答者560人のうち実に半数以上が他人の無線LANを無断で利用した経験があるという。米Cisco Systemsによる別の調査でも同様に、近所の無線LANを利用しているというデータが見られた。これを読んで思わず「ぎくり」とした人も多いのではないだろうか。

 総務省「電気通信サービスの供給動向調査」(2006年度)によると、国内の公衆無線LANの契約数は2006年12月末時点で590万件、アクセスポイントは2006年9月時点で1万5760カ所となっており、飲食店の設置を中心に大きく成長している。

 現在一般的に利用されている無線LANは国際標準規格のIEEE802.11b/g。通信速度は11Mbpsから54Mbpsとなる。

 しかし近い将来、大きな変革がやってくる。2008年に策定予定のIEEE 802.11nでは、通常で100Mbpsから200Mbps、最大で600Mbps近い通信速度を達成できるようになる。この速度向上は、MIMOという多元接続技術や無線周波数チャネルの拡張、送信の時間間隔を短縮する方法などを利用することで実現される。また、オプションでアンテナが実装可能なため、屋外での通信にも対応する。

 無線LANのインフラがより豊かなものになることで、利便性が向上する。それに付随するように、心のどこかでは悪いことかもしれないという思いを抱きながらも、便利という誘惑に負けて無線LANを盗用してしまうのだろう。

 現在日本では、無線LANのただ乗り自体には問題ないように思われる。罪に問われるケースは、無線LANを盗用し、不正アクセスなどを行った場合だ。以下は、総務省が制定している「電波法」からの抜粋である。

 第59条

 何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。


 もし、これに違法した場合どうなるのか。以下は、2004年にサイバー犯罪条約の批准を受けた法改正で追加された部分である。

 第109条の2

 暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 無線通信の業務に従事する者が、前項の罪を犯したとき(その業務に関し暗号通信を傍受し、又は受信した場合に限る。)は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。


 実際に、海外だけでなく日本でも逮捕者が出ている。しかし、両者の事例を見ると、前者が無線LANの盗用事態を犯罪と見ているのに対し、後者は、盗用した無線LANを使って悪意のある行動を取ったことに対して逮捕されている。このことからも分かるように、無線LANを盗用しただけでは、罪にならないという認識が広まってしまっている。無線LANをオープンにしているAP側の責任のみが問われる格好となっている。

 現状で無線LANのただ乗り自体に罰則がないように見える日本法だが、海外などの事例をふまえ、今後の法改正も検討されている。2007年1月にはシンガポールで、隣人の無線LANにただ乗りしただけの17歳青年に対し18カ月間の保護観察処分という実刑判決が下された。

 現在総務省では、2010年をめどに通信と放送の融合に向けた法体系の整備に取りかかっており、そこでは電波法をはじめ現行9つの法制度を再編する動きが出ている。そうした場合、コンテンツ規制や著作権などの観点から無線LANのただ乗りに関しても近い将来てこ入れがされるかもしれない。

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