NTTデータが、デジタル変革をリードする専門性の高い外部人材を市場価値に応じた報酬で採用する制度を新設した。この機に、同社の説明に基づいて、デジタル変革時代の人事・報酬制度について考察してみたい。
「今回の取り組みを一言でいえば、専門性の高い人材の獲得に向けて、外資系企業が適用しているような高額報酬もあり得る人事制度を導入したということだ」――NTTデータの柳圭一郎 代表取締役副社長執行役員 人事本部長は、同社が先頃開いた新たな人事・報酬制度の取り組みに関する記者説明会でこう語った。
NTTデータがこのほど新設したのは、「Advanced Professional(ADP)」制度。最先端のデジタル技術やそれを適用したコンサルティングの領域で、卓越した専門性を有した人材を外部から市場価値に応じた報酬で採用する仕組みであり、新たなビジネスの推進に必要となる人材の確保を強化する取り組みである。
具体的には、人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)、クラウド、アナリティクス、セキュリティなどの領域で専門知識や技術を習得している人材の中でもトップクラスのスキルを持つ人材を対象にした制度である。
同社がADP制度を設けたのは、そうしたトップクラスのスキルを持つ人材の争奪戦が、今後ますます激しくなるのが必至だからだ。とりわけ、そうした人材は、同社のような国内大手企業に比べて、柔軟性の高い人事、報酬制度を適用している外資系企業に招聘(しょうへい)されるケースがこれまで目立っていた。そうした流れを食い止めてトップスキルの人材を確保しようというのが、この取り組みの狙いだ。
さらに、柳氏はこの制度について、「外部からの人材確保という即効性を求める一方で、ADP人材が顧客特性やIT開発を熟知した既存の社員とコラボレーションすることにより、お互いに良い影響を与えることにも期待している」とも語っている。(図1)
ここまでが今回の発表の概要だが、以下に、会見での柳氏の話で興味深かった内容を図とともに3つ取り上げておきたい。
まず1つ目は、同社のデジタルビジネスにおける専門職の分類でのADP人材の位置付けである。図2に示すように、リソースが増加する中でも特に今後強化していくのは、「上流先進技術」の人材だ。柳氏によると、その中でも図の右側に色付きで記されている「上流+AI」の4つの領域が、ADP人材の最もターゲットとするところだという。その下にある5つの領域も対象ではあるが、どうやら「デザイン」というのがADP人材のキーワードのようだ。
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