「ボーダフォンの702NK、なかなか面白いね」
最近、知己のIT系ライターやジャーナリスト仲間から、そのような声をよく聞く。実際に購入した人もけっこういて、ちょっとした702NKブームが起きている。
筆者もボーダフォンから借りて試したが、確かにユニークな端末だ。そのカスタマイズ性の高さ、よくも悪くもPCライクな自由度は、一昔前、黎明期のパソコンに夢中になっていた頃を思い出す。インターネット上を探せば、702NKユーザーの情報サイトやブログが多数あり、そこでの情報交換は活発だ。
ITmediaモバイルのレビュー(2月14日の記事参照)に詳しく書かれているが、702NKはPDAライクなスペックを持つ“SmartPhone”である。多機能で、デザインにも優れ、海外ではホワイトカラーを中心に人気を博している。しかし、SmartPhoneが今後、順調に“日本上陸”できるかというと、それは難しい。なぜなら、既存キャリアの姿勢が冷ややかだからだ。
702NKを発売するボーダフォンのラインナップを見ても、日本のキャリアにとってSmartPhoneの扱いが難しいことがわかる。ボーダフォンは702NKを「エントリーモデル」に位置付けており、SmartPhoneのコンセプトやカスタマイズ性の高さはまったくアピールしていない。702NKの魅力であるはずのSymbian OS Series 60用アプリのインストールにも制限を加えている。ボーダフォングループのコンバージェンスプログラムにより702NKを販売してみたものの、「日本のキャリア」としてはSmartPhoneの扱いに戸惑っているようだ。
ボーダフォン以外のキャリアに至っては、SmartPhoneに消極的どころか、否定的な動きすらある。NTTドコモは今春、モトローラ製のSmartPhoneをビジネスコンシューマー向けのFOMA(2004年8月25日の記事参照)として販売する予定だが、この端末はiモード機能を搭載しておらず、主に法人チャネルで販売される模様だ。別の海外携帯電話メーカーともSmartPhoneをめぐる交渉をしているが、「iモード仕様の搭載をめぐってメーカー側との確執があり、開発は難航している。一部の取締役や旧iモードビジネス部の人間がSmartPhoneやフルブラウザの導入に否定的で、コンシューマー向けとして積極的に販売される可能性は極めて低い」(ドコモ関係者)という。
一方、KDDIはすでにフルブラウザ搭載のW21CAを発売し、市場の反応を見ている。しかし、SmartPhoneについては「SmartPhoneが日本市場の主要なニーズなのか疑問がある。様子見の段階」(KDDI関係者)である。
SmartPhoneが一般ユーザーをも巻き込むムーブメントにならないかぎり、既存キャリアの重い腰は上がらないだろう。SmartPhoneが本来のコンセプトで本格上陸するとしたら、それはイー・アクセスなど新規参入組からになる可能性が高い。
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