おサイフケータイで扉を開ける〜SECURITY SHOW

» 2005年03月03日 16時51分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 3月2日から4日にかけて、東京・有明の国際展示場(東京ビッグサイト)西ホールで、セキュリティ関連製品の展示会「SECURITY SHOW」が開かれている。おサイフケータイを含む、FeliCaを使ったソリューションをいくつか紹介しよう。

Edyで解錠、不審者は通さない「ルックパス」

 アートが展示している「ルックパス」は、家庭向けの錠前システム。リーダーにおサイフケータイやEdyカードをかざして解錠する(Suicaには非対応)。登録済みのEdy以外では解錠しない。同社はすでにEdyを使った錠前システム「NW-L10」を販売しており、ルックパスはこれに監視カメラと簡単な顔認識機能を追加したもの。顔認識といっても本人か他人かを識別する機能はなく、目と口が揃っていることを確認して解錠するという、あくまで簡易的なものだ。

 さらに監視カメラが解錠者の顔を撮影しており、画像データをインターネット経由でサーバーに送り、鍵を開けようとした人の顔をログに残しておく。このとき、顔が分からないようにマスクやサングラスをかけている人であれば、登録済みのEdyをかざしても解錠しない仕組みになっている。中に入れない場合は管理センターに連絡をし、センターのオペレーターが目視して、そこに住んでいる居住者であることを確認すればロックを外して入場できる。

 ルックパスは、2005年の夏から秋にかけて販売開始予定。リーダーのリース、サービス使用料、メンテナンス費用などを含めて月額数万円での提供を考えているという。

Edyカードやおサイフケータイをかざして鍵を開けるルックパス。サングラスやマスクをかけている(=目と口が揃っていない)不審者だと解錠しない

 同社では「iモードFeliCaを利用した次世代セキュリティシステム」と題した参考展示も行っていた。こちらはおサイフケータイをリーダーにかざすと、iアプリが起動する。IDをダウンロードして照合し、本人であると確認できれば鍵が開き、携帯から管理サーバ宛に解錠した記録がメールとして送られる。管理者側で「1回のみ解錠できるID」「使用期限付きID」などを設定できるので、よりきめ細かい管理もできる。

おサイフケータイを使って解錠すると、その記録が携帯からサーバーにメールで送られる。テナントや会社などで、休日・夜間出勤するとログが残る──といった利用法を想定しているという

賃貸・分譲マンションの鍵をFeliCaで開ける

 美和ロックのブースで展示されていた「FKL」「iEL」は、FeliCaカードを使ったマンション用の鍵だ。FKLは賃貸マンション、iELは分譲マンション用を想定している。

 FKLは、不動産会社や物件のオーナーが鍵用のFeliCaカードを、PCを使って管理・発行できるのが特徴。入居希望者用に、期限付きの鍵を発行したり、入居者が変わったら鍵を変えたり、という作業が簡単に行える。ドアロックの本体部分にメモリとCPU、乾電池を内蔵しており、何時何分にどのFeliCaカードで入退場したか、すべてログを取っている。FKLの本体価格は8万5000円程度、鍵カードは1枚2000〜3000円程度。このほかサーバーの利用料がかかる。

 分譲マンション用のiELは履歴機能が付いておらず、基本的には鍵を開閉するだけのシンプル機能。最近のマンションはドアの上下2カ所に鍵が付いているダブルロックタイプのものが多いが、2カ所開閉するのは面倒なもの。iELを使うと簡単にFeliCaカードだけで開け閉めできる鍵だ。

賃貸マンション用の鍵、FKL。黒い部分にFeliCaカードをかざすと鍵が開く。メモリを内蔵しており、入退室のログを取っている(左)。分譲マンション用の鍵、iEL。FeliCaカード1枚で、上下の鍵を一度に開け閉めできる(右)

 FKLは4月から、iELは10月から発売予定。展示されていたのは鍵の開閉機能だけを持った単機能タイプのカードだったが、どちらもEdyの電子マネー機能を付けることができ、おサイフケータイへの対応も予定している。

 SECURITY SHOWでは監視カメラやセンサー、認証システムや鍵といった製品が主役だが、「FeliCa」「おサイフケータイ」の文字を数カ所で見かけた。

 EdyやSuicaといったサービスから普及が始まったため、FeliCaというと電子マネーや交通システムのチケットとしてのイメージが強いのは事実。しかしかざすだけで簡単に素早く認証処理ができるFeliCaは、鍵や本人認証などセキュリティのジャンルにも大きな可能性を持っていることを感じさせる。

 FeliCaを使ったカードや携帯で鍵を開けるという製品が発表されるのは初めてではない(2004年7月21日10月8日の記事参照)。今回参考展示されていた製品も、発売が近いものが多かった。今後はただ鍵を開閉するだけでなく、とくにFeliCaとアプリケーションを組み合わせた製品にさらに注目が集まりそうだ。

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