広告メディアとして本格化する「メッセージF」神尾寿の時事日想

» 2005年06月08日 20時38分 公開
[ITmedia]

 思えば、長い雌伏期間だった。

 筆者の取材ノートをひっくり返したところ、2002年、NTTドコモの夏野剛iモード企画部長のインタビューにおいて、メッセージFの広告メディアとしての可能性が語られていた。

 6月10日、モバイルマーケティングカンファレンス2004において、夏野部長が今年中にメッセージFの機能をデフォルトオンにすると発表。同イベントにおいて、D2コミュニケーションズがメッセージFの現状と今後の展開について発表した(6月7日の記事参照)

 メッセージFがいわゆる「メール広告」に比べて優れているのは、受信ボックスが通常のメールボックスと分離している点だ。一般のメールとは完全に分離しているので、迷惑メールや不適切な広告が混入したり、広告メッセージとメールが混在して使いにくくなるという事がない。携帯電話向けの広告メッセージシステムとして考え抜かれたシステムであり、これをiモード登場初期から実装していたドコモの先見性には脱帽する。

 メッセージFがこれまで大々的に活用されなかったのは、迷惑メールの社会問題化により、携帯電話向け広告メッセージそのものにキャリアや広告主がナーバスになっていたからだ。しかし、その問題を抜きにすれば、メッセージFの潜在的な可能性は大きい。

 特に筆者が注目するのは、メッセージFがモバイルコマースと“直結”できる点だ。広告と販売が1台の端末で完結しており、しかも携帯電話は決済サービスが豊富に用意されている。おサイフケータイが普及期に入る今年後半には、EdyやSuica電子マネーが「ネットワーク側決済」でも使われる予定だ。また、先に発表されたドコモと三井住友FGのクレジット決済サービス(4月27日の記事参照)も、モバイルコマースで利用できるようになるだろう。

 消費者の手のひらの中へ広告を送り込み、その効果がダイレクトに分かる。メッセージFは今後、巨大な広告メディアに成長する可能性を持っているのではないだろうか。

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