おサイフケータイ対応マンションって、実際はどんな感じ?神尾寿の時事日想: (1/3 ページ)

» 2005年07月21日 19時59分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 7月20日、福岡市のKESAKAシステムが後付けタイプのおサイフケータイ対応玄関錠「エントリーロック」を発表した(7月20日の記事参照)

 エントリーロックはおサイフケータイで玄関錠を開閉するだけのシンプルな仕組みだが、新築マンションで先行して導入されているおサイフケータイを利用した鍵システムには、合鍵の発行や、解錠通知、鍵の閉め忘れを携帯で確認するといった、ネットワークを利用したさまざまな機能が盛り込まれている。

 今日の時事日想は特別編として、昨日の社長インタビューに続き、すでに完成しているおサイフケータイ対応マンションのレポートをお届けしよう。

住民の65%がおサイフケータイを利用──分譲マンション「ジョイナス吉塚」

 博多から電車で1駅。吉塚駅のターミナルに降り立つと見える目新しいマンションが、2004年11月、おサイフケータイ向け電子錠「kesakaサービス」導入1号となった分譲マンション「ジョイナス吉塚」だ。11階建て、住戸148戸のジョイナス吉塚では、kesakaサービスのフルサービスが提供されており、さらに階下のテナントではEdyによる電子マネー決済も利用できる。

 ジョイナス吉塚が他のマンションと違うことは、エントランスに立てばわかる。TVカメラ付きのオートロックがある。これは近頃のマンションならあたりまえの光景だが、よく見ると「鍵穴」がないのだ。代わりにある黒い四角形のスペースがFeliCaの読み取り部分。ここに入居時に配られるFeliCaカードか、専用アプリをダウンロードしたおサイフケータイをかざす。

 「鍵穴がないという部分は、入居の見学にきた皆さんがまず驚かれる部分ですね(笑)」(KESAKAシステムソリューショングループの山崎祐氏)

おサイフケータイ対応の分譲マンション「ジョイナス吉塚」。kesakaサービスのフルサービスが利用できる(左)。ジョイナス吉塚の集合玄関。オートロックに鍵穴はない(右)

 もちろん、これはサプライズを狙っているわけではない。目的はセキュリティだ。

 「集合玄関のオートロックはひとつ間違えればセキュリティホールになるんです。例えば入居者が鍵を紛失したり、盗難された場合、各戸の鍵は交換すればいいわけですが、集合玄関のオートロックは簡単に交換できません。(悪意ある第三者が)なくした鍵を使えば、マンション内に入れてしまう。一方、FeliCa電子錠ならばカードやケータイの紛失をしたら、サーバー上で鍵情報を削除・変更してしまえばいいわけです」(山崎氏)

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