クアルコムが重視する「BREWの原点」とは Interview:(1/4 ページ)

» 2005年08月12日 11時41分 公開
[平野正喜,ITmedia]

 「BREWとは何か?」で述べた通り、日本におけるBREWの進化は、2004年頃から一気に加速しはじめた。この変化の時期に、同社はどこに支点を置いて戦略を組み立てているのだろうか。クアルコムジャパンのビジネス開発部長兼広報部長である野崎孝幸氏に話を伺った。

クアルコムジャパンビジネス開発部長兼広報部長の野崎孝幸氏

BREWの担い手の世代交代と海外の状況

ITmedia 日本においてBREWの導入推進を担当していた山田純さんがクアルコムジャパンの社長になられたのに続き、米国本社でもCEOが交代したそうですね。

野崎 7月1日を持って経営体制が変わりました。創業者でありCEO兼会長だったアーウィン・ジェイコブスが会長職に専念し、三男のポール・ジェイコブスが新CEOとなりました。

ITmedia ポール・ジェイコブス博士といえば、BREWの生みの親その人ですね。日本向けのインタビュー(書籍「ケータイビジネスを革新する技術 BREW」収録)で、BREWを開発したきっかけや命名の由来などを語られていましたが、その時すでに次期CEOと目されていたそうですので、(本人も周囲も)違和感はないのではないでしょうか。

野崎 そうですね。あのインタビューの時点では、BREWを採用したキャリアは世界で20数社しかなかったのですが、現在では45社まで増えています。日本のKDDIや米Verizonのような大手キャリアに加えて、中米のBermuda Digital Communicationsのような地域密着型キャリアでも採用され始めました。

「プラットフォーム」という言葉の意味

ITmedia 普及が進む中で「次のBREW」に注目が集まっていると思います。そんな中、山田社長はITmediaのインタビューで「我々はすでにBREWのプラットフォーム技術に軸足を移している」と答えていましたが(7月6日の記事参照)、この「プラットフォーム」という言葉の意味するところは?

野崎 弊社の原体験として、端末開発のときに味わった苦労がBREWの原点になっています(注:BREW開発当時、クアルコムは携帯電話メーカーでもあった)。BREWのバージョン1ではその第一歩として、アプリのダウンロード用プラットフォームという姿になり、そこからバージョン2でマルチメディアなどへサポート範囲を広げましたが、それらは途中経過だと考えていました。

 そして、今年6月にリリースしたBREWバージョン3.1では、「携帯電話のプラットフォームとしてのBREW」の機能を強化しています。つまり、アプリのダウンロードのプラットフォームに限るのではなく、ユーザーインタフェースや、ブラウザやメーラーのような、いわゆるコアアプリケーションもBREWのサービス対象としています。

ITmedia BREWとコアアプリケーションに関しては各社から次々とニュースリリースが出ていますね。

野崎 BREW上のコアアプリケーションとしては昨年6月の「NetFront for BREW」の発表以来、ACCESSから次々とプレスリリースが出ています(2004年6月8日の記事参照)。今年5月には「SMIL Player」などがKDDIのBREW拡張プラットフォーム「KCP(KDDI Common Platform」に採用されました(5月25日の記事参照)。また、ACCESSは中国における初のBREW高性能端末に「NetFront for BREW」を提供したのに続いて(6月7日の記事参照)、Samsungの携帯電話にフルブラウザを提供することで、ヨーロッパでも「NetFront」を展開しています。

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