英Symbianは10月11日から2日間、英ロンドンでプライベートカンファレンス「The Smartphone Show 2005」を開催した。初日の11日、今年6月に新たにCEOに就任したナイジェル・クリフォード氏が登場し(6月22日の記事参照)、スマートフォンとSymbianの現在と今後の戦略について語った。
クリフォード氏はまず、Symbianの必要性について言及した。英国の場合、10の無線ネットワークがあり、1つのネットワークを31以上の携帯電話が利用している。1ネットワークあたりの料金プランが78種類に上るなど複雑な環境だ。こうした市場でオペレーターや端末メーカー、アプリケーション開発者にメリットを提供するのが、Symbianだという。
「オペレーターや端末メーカー、開発者にコスト、時間のメリットを提供する。標準的プラットフォームを利用することで、差別化に集中できる。Symbianはコンパスの軸のような役割を果たす」(クリフォード氏)。
Symbianの最大の強みは、ハードウェア、UI/アプリケーションの間で一貫性のあるプラットフォーム技術を提供すること。これにより端末メーカーは、機能の選択や差別化、コスト削減、開発工期の短縮を実現できる。「1度開発すれば、それを再利用できる。再利用すればするほど、得られるメリットは大きくなる」とクリフォード氏。同氏がここで例に挙げたのが富士通だ。「Symbianを再利用することで、おサイフケータイのようなハイエンド端末から「らくらくホン」まで多様な端末を提供している」
オペレーターにもメリットは大きい。Symbian端末の場合、新端末の検証テストのうち、アプリケーション関連コストを90%も削減でき、合計で約40%のコスト削減が可能という結果も出ているとする。これにより得られた時間を、ほかの戦略的な検討に充てられるわけだ。
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順調に搭載機を増やしている同社だが、市場はまだ新しく、競争も激しい。今後は、現在ハイエンドで築いた地位を維持しつつ、ミドルレンジや低価格端末の分野にフォーカスすることで、マス市場進出を狙う。クリフォード氏はこれを「スマートフォンから“スマート”を取り除く」と表現する。普及すれば、“スマート”と特別扱いする必要はなくなるからだ。
価格を下げるという点に関して同社はSymbian OS Real Time Compatibility Layer(RTCL)技術を発表した。スマートフォンは通常、プロセッサを2つ(コミュニケーション用とアプリケーション用)利用する設計となるが、同技術により端末メーカーは1プロセッサアーキテクチャを利用しつつ、Symbianの性能を活用できるという。また昨年、3G端末で米Intel、フィンランドのNokiaとの提携を発表。この提携の延長として、IntelがSymibian 9.0とNokiaのSeries 60 3rd Editionを搭載した3G端末向けチップのコンセプトデザインをデモしている。
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