来年の1月スタート、モバイルSuicaで何ができる? 特集:FeliCa携帯、本格始動(1/2 ページ)

» 2005年11月09日 20時12分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 2006年1月から、NTTドコモとauのおサイフケータイでいよいよモバイルSuicaがスタートする。おサイフケータイ普及の本命と言われるモバイルSuicaでは、具体的にどのようなことができるようになるのだろうか。東日本旅客鉄道、鉄道事業本部Suica部次長の山田肇氏に尋ねた。

東日本旅客鉄道鉄道事業本部Suica部次長の山田肇氏

クレジットカードでチャージ

 まず、2006年1月のサービス開始時にできることから聞いていこう。「Suicaのバリューで電車に乗ること、定期券としての利用、湘南新宿ラインの普通列車グリーン券購入、それから物販にも使えます。ここまではカードのSuicaと同じです。モバイルSuicaで新しく使えるようになる機能というと、通信機能を使ってバリューをチャージすること、定期券を購入すること、普通列車のグリーン券を購入することですね」(山田氏)

 Suicaによるグリーン券購入はすでに始まっているサービスだ。カードのSuicaでグリーン券を購入する場合は、駅ホームなどに設置された券売機にSuicaを差し込んでグリーン券を購入すると、Suicaにグリーン券の情報が書き込まれるという仕組み。車内で買うよりも250円安くなる。

 モバイルSuicaになることで便利になるポイントの1つが、いつでもネットワークにつないで履歴を参照できることだ。「PCと携帯、両方から履歴を見られるようにします。『印刷したい』というニーズがあることも理解していますので、とくにPCからは、バリューの利用履歴だけでなく、定期券情報も印刷できるようにする予定です」(山田氏)

iアプリ版のモバイルSuicaで定期券情報を表示した画面

 カードタイプのSuicaでは、券売機を使って現金でチャージしていたが、モバイルSuicaのチャージは原則的に、クレジットカードを使って行うことになりそうだ。「今はクレジットカードでの決済だけを考えています。(JR東日本が発行している)VIEWカードを決済手段にしようと。ほかのクレジットカードについては検討中です」(山田氏)。銀行や郵貯口座からのオンラインチャージについては「銀行からのチャージは、将来的には考えていますが、まずはクレジットカードからです。郵貯は今のところ検討していない」という。

 Suicaにはユニークな番号が振られているが、1つの番号をカードとモバイルSuicaで共有はできない。「SuicaカードとモバイルSuicaで、バリューを共有することはできません。カードSuicaは窓口で返却していただくと、デポジット料金が支払われます」

 Suicaカードの残高が0でない場合、残高をモバイルSuicaに移すことはできるのだろうか。「一般のSuicaカードの残高は使い切ってください。Suica定期券を使っている方に関しては、定期券情報と一緒に残高もモバイルSuicaに持って行ける仕組みを検討しています」(山田氏)

アプリのダウンロードは自分で

 チャージがクレジットカードに限られることともう1つ、モバイルSuica利用のハードルになりそうなのが“アプリのダウンロード&設定”だ。

 現在発売されているおサイフケータイでプリインストールされているFeliCa関連アプリは、基本的に電子マネーの「Edy」のみ。FeliCaを利用したEdy以外のアプリを使いたい場合には、ユーザーが自分でアプリをインストールすることになる。モバイルSuicaも例外ではない。ドコモ、auいずれも、モバイルSuicaがおサイフケータイのキラーアプリになるだろうと期待はしているが、「Suicaの利用エリアは基本的に関東のみで、全国的なものではない」点がプリインストールへの障壁になっているようだ。

 「(端末に)プリインストールしてもらえるよう、キャリアに依頼はしていますが、決まっていません。将来的には分かりませんが、まずは(ユーザーが)自分でダウンロードすることになります」(山田氏)

 定期券情報の引き継ぎや、機種変更時なども、基本的にはユーザーが自分で設定を行うことになるという。「Suicaには番号が付いていますので、データを引き継ぐにはこれを使います。データの引き継ぎや機種変更時は、いったん自分のデータを(JR東日本の)サーバにアップロードして、その後新しい機種で接続し、自分でダウンロードすることになります。ユーザーIDとパスワードを入れるくらいで、そんなに難しいことはないと思いますが、コールセンターを設けて、サポートはそこで行います」

 サービス開始時にはドコモとauのおサイフケータイでモバイルSuicaが利用できるようになるが、「iアプリ版とEZアプリ版とで、モバイルSuicaの基本的な仕様、利用できるサービスに差をつけるつもりはない」と山田氏は話す。ただし将来的には、端末やキャリアによって、利用できる機能に差が付くこともありそうだ。auとJR東日本の合同発表会では、“外ではGPSを利用したナビ機能を利用し、改札を通ったら駅構内を案内する”といった構想があることも発表された(7月11日の記事参照)。「“auはGPSが得意”など、携帯電話の端末の機能によって、できることに違いが生じてくることはあるかもしれない。それは今後の検討事項です」(山田氏)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.