KDDI、通期業績見通し上方修正──ARPU上昇

» 2006年01月24日 17時55分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 KDDIは1月24日、2005年度第3四半期の決算を発表した。auおよびツーカーからなる移動体通信事業は引き続き好調で、2005年度通期の売上見通しを、期初の2兆9760億円から3兆410億円に、650億円ほど上方修正した。

 ただし営業利益については、移動体事業で210億円の増益となるが、固定事業が210億円の減益となり、相殺となる。2890億円で変更はない。

 売上の上方修正の理由は、大きく3つある。

2005年度の通期ARPUは7000円に

 1つは、ARPU(ユーザーあたりの月間収入)を期初見込みの6810円から7000円に修正したこと。音声通話料については継続して減少しているが、データ通信料が伸びた。定額制に対応したWIN端末利用者のデータARPUは、第3四半期で3460円(全体では1890円)と高く、WIN利用者自体も増加中だ。

 WIN利用者は2005年12月末時点で675万契約に増加しており、au利用者の約31%を占めている(1月11日の記事参照)。うち、81%がパケット定額制を契約しており、データARPUの上昇に貢献した。2006年3月末には、WIN契約者数の目標を618万契約に置いている。

KDDIのARPU推移。これまでARPU額で上回っていたドコモは、2005年度の通期ARPUを6770円と見込んでおり(中間期発表時)、通期ARPUでKDDIが逆転することになる
WIN契約者数。WINの契約者は、53%が新規契約

年度末契約者数も上方修正──年度内ツーカーから70万人移行

 2つ目として、契約者数の見込みも上方修正し、期初の2503万人から2528万人とした。25万契約増により売上は増加するが、インセンティブなどの経費増の影響も出る。

 また2005年10月から開始した、ツーカーからauへの同番移行も好調だ(9月29日の記事参照)。第3四半期に約35万人が移行済みであり、第4四半期にも35万人の移行を計画している。

 今期、ツーカーのPDC通信設備については約900億円の減損損失を計上するが、「ツーカーは端末販売も継続する。PDCの廃止時期は決定していない」(KDDIの小野寺正社長)と、当面ツーカーのサービスも継続する意向を表した。

メタルプラス契約者数は下方修正

 好調な移動体に対して、メタルプラスなどを抱える固定系事業は不調だ。2005年度内のメタルプラス契約者数は、期初予定の220万契約を下方修正し、170万契約とした。「基本料金の2カ月減免などが影響」(小野寺氏)したことで、収益にも影響が出る。

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