トウモロコシが携帯に──富士通、植物性プラスチックを試作

» 2006年05月16日 22時47分 公開
[ITmedia]

 富士通と富士通研究所は、東レの協力のもと、携帯電話にも適用可能な耐衝撃性を備えた植物性プラスチックを開発した。同社が従来、開発していた植物性プラスチックと同等の耐熱性や成形性を保ちつつ、耐衝撃性を1.5倍にまで高めたもので、同素材を用いた携帯電話のボディの試作にも成功したという。

 トウモロコシなどを原料とするポリ乳酸とポリカーボネートの複合過程において、素材の混ざりやすさを向上させ、より微細な構造にすることで高い耐衝撃性を実現した。

 富士通と富士通研究所は、2002年6月にトウモロコシを原料とする植物性プラスチックを、世界で初めてノートPCのボディ用小部品として採用(2002年6月の記事参照)。2005年1月には素材の複合技術や難燃化技術の組み合わせによる、難燃性・耐熱性・成形性に優れた植物性プラスチックを東レと共同開発し、ノートPCのボディに適用した。最新モデルの「FMV-BIBLO NB80S」(4月11日の記事参照)ではボディの約93%に植物性プラスチックを採用するなど、バイオプラスチックの開発・製品化に注力している。

 今回発表した植物性プラスチックを使った携帯電話のボディの試作機は、5月18日、19日に東京国際フォーラムで開催される「富士通フォーラム2006」に出展される。

 携帯電話業界には、植物原料の筐体開発に注力しているメーカーが多く、富士通のほかにもNECやソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが植物原料のプラスチックの開発を進めている。NECは、ケースの樹脂成分の90%が植物成分でできている「N701iECO」(2005年12月の記事参照)を製品化しており、ソニー・エリクソンは、マクロ撮影切り替えスイッチに植物原料のプラスチックを使った「premini-IIS」(2005年5月の記事参照)をリリースしている。

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