トルカもQRコードもnapsterも、目指すのはno music, no life――タワーレコード(前編) (1/2 ページ)

» 2006年12月12日 00時01分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 数あるおサイフケータイを利用したサービスの中で、特に記者が注目しているものの1つが「トルカ」だ(2005年11月の記事参照)。トルカはFOMA 902iシリーズ以降のドコモ製おサイフケータイで利用できるサービスで、“電子クーポン”や“電子チラシ”と説明されることが多い。特徴としては、おサイフケータイで決済をする場合、同時、かつ自動的にトルカを受け取ることができ、専用のトルカフォルダに保存できることが挙げられる。例えばコンビニのレジで、iDを使ってお金を払うと、同時に次回使える割引券が携帯に飛び込んでくる、というような使い方ができるのだ。

 トルカはFeliCaチップで受信できるだけでなく、メールに添付して送ったり、赤外線通信を使って送ったりできる。また、ワンセグと組み合わせて配布する方法も検討されている(10月2日の記事参照)

 トルカは軽いデータなので、メールにも添付しやすく、送りやすい。ここがもう一つのトルカの大きな特徴だ。送受信するときは軽いデータだが、ユーザーがトルカを開いて中を読み、最後に付いている「詳細」ボタンをクリックすると携帯がトルカサーバにアクセスし、トルカがより詳細な(データ量の多い)ものに書き換わるのだ。詳細データは必要に応じてサーバ側で書き換えられるので、例えばトルカ詳細で案内する内容を季節に合わせて変えたり、クーポンの割引率を変えたり、といった操作が簡単に行える。

トルカ(左)とトルカ詳細(右)。トルカの「詳細」ボタンを押すとサーバにアクセスし、トルカ詳細にデータが書き換わる

 これまで、携帯で似たようなことをするには、QRコードを使うケースが多かった。印刷されたQRコードを携帯カメラで撮影してURLを読み取り、サービス事業者のサイトにアクセスさせる、というイメージだ。しかしトルカの場合は、先にある程度の情報を伝えることができる上、ブラウザを使ってWebアクセスをすることなく、簡単にWebサイトへ誘導できる。

タワレコ渋谷店でトルカを配布、ドコモ以外のおサイフケータイでも利用可能

 難点はFOMA 902iシリーズより前のドコモ製おサイフケータイでは対応していないことだが、実はauやソフトバンクモバイルのおサイフケータイにはトルカを受け取る代わりに自動的にブラウザが起動する機能が付いているため、指定したURLへ簡単に誘導することができる。トルカを詳細データに書き換えるのとほぼ同様のことが行えるのだ。

 携帯の操作に慣れていないユーザーにも利用でき、簡単にWebサイトへ誘導できるトルカは、おサイフケータイを利用したマーケティングツールとして非常に有望だと思うのだが、まだ有効に活用している例がほとんどない。現在ある程度の規模で導入しているのは、リクルートの「ホットペッパー」と組み合わせた例くらいだ。トルカそのものの認知度もまだまだ低い。

 そんなトルカの配布を最近開始したのが、タワーレコードだ。渋谷店の店頭にトルカ用のリーダー/ライターを設置し、店舗情報やセール情報などを提供している。トルカに対応する902iシリーズ以降のFOMAの他、au、ソフトバンクのおサイフケータイでも利用できる(ただし、ソフトバンク携帯は動作未確認)。また、おサイフケータイではない携帯でも、リーダー/ライターの横に印刷されたQRコードや「とくナンバー」から情報を得られる。

photophoto タワーレコード渋谷店でトルカ用リーダー/ライターが設置されているのは、入り口そばのインフォメーションコーナー(写真左、1台)と、1階奥のnapsterコーナー(写真右、2台)

photophoto トルカ用リーダー/ライターのほか、各階のレジでiDを使って支払いをすると、同じ内容のトルカを自動的に受け取るようになっている(写真左)。iDで支払いをして受け取ったトルカ(写真右)
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