地道に進化するサービス「EZナビウォーク」の今――KDDI Interview: (1/3 ページ)

» 2007年02月13日 13時51分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 携帯電話の基本機能として、GPS(Global Positioning System)はなくてはならないものになりつつある。GPS携帯電話が今後急速に広まる直接的な要因は、今年4月1日以降から「緊急通報位置通知」機能が導入され、そこで将来的にはGPS機能の利用が義務付けられることだ。しかしこの緊急通報位置通知の義務づけがなくても、携帯電話のGPS機能は様々なサービスやビジネスに応用できる。

 このGPS機能の活用において、他社を大きくリードしているのが、KDDIがau向けに提供する「EZナビウォーク」「EZ助手席ナビ」である。auはドコモやソフトバンクモバイルに先んじてGPS機能の標準的な実装に取り組み、この機能を生かすサービスとして、EZナビウォーク/EZ助手席ナビを投入した。この分野ではパイオニアと言える。

 他キャリアでもGPS機能の搭載が一般化する中で、GPS活用サービスは今後どのような軌跡で進化するか。また、この分野の先駆者であるauの競争優位性は今後も続くのか。今日の時事日想は特別編として、KDDIコンテンツメディア事業本部コンテンツ・EC本部コンテンツ推進部ナビゲーションビジネスグループ課長補佐の楠直樹氏にインタビューを行い、EZナビウォークの最新状況と今後のビジョンについて聞いた。

KDDIコンテンツメディア事業本部コンテンツ・EC本部コンテンツ推進部ナビゲーションビジネスグループ課長補佐の楠直樹氏

EZナビウォークはどんなときに使われている?

 誤解を恐れずに言えば、EZナビウォークは世間で大きな話題になり、爆発的にユーザーが増えるタイプのサービスではない。むしろ着実に成長し、ユーザーの支持を集める地道なサービスだ。現在の利用者数は、EZナビウォークで約105万人、EZ助手席ナビが約37万人だ。

 「EZナビウォーク、EZ助手席ナビの特徴は、どちらもコンスタントに月間2万程度(の新規申し込み)で成長し続けていることです。EZナビウォークはサービス開始からずいぶんと経ちますが、未だに伸び続けています。また、解約率が(他のコンテンツサービスに比べて)低い傾向にあります」(楠氏)

 コツコツと成長を続けて、しかも解約率が低いというのは、従来からEZナビウォークに見られた特徴である。この傾向はユーザー数が100万の大台を突破した今も変わらず、GPSナビゲーションが“安定したキラーサービス”であることを示している。

最新版のEZナビウォーク。トップページから現在地や全国の特定した場所の地図を表示するメニューが表示され、無料で利用できるようになったほか、検索結果の表示方法もタブを使った分かりやすいものに改善された

 「EZナビウォークの利用者年齢層の分布を見ますと、30代の男性の比率が最も高く、その前後の20代と40代が続くという形になっています。一方、サービスの利用頻度では大学生の属性が高いというのが興味深いところです。また検索される目的地の属性では、駅名や地名を検索するパターンが多いですね。

 EZ助手席ナビの利用者年齢層の分布は、20代が高く、30代が続きます。しかも男性比率が高いですね。検索される目的地の属性は、イオンやジャスコといった郊外型SC(ショッピングセンター)が多いです。(観光施設など)遠出をした時に使うというより、日常的に使われている印象を持っています」(楠氏)

 EZナビウォークはサービス開始当初ビジネスパーソン向けのサービスとして考えられており、EZ助手席ナビは遠出や道に迷った時に使うといったニーズが多いと考えられていた。しかし、利用者層や目的地検索の傾向を見ると、前者はプライベートなニーズの開拓に成功してきており、後者も日常的なカーナビニーズを取り込んでいる。携帯電話のGPSナビゲーションは、特別なものではなく、身近なサービスとして普及しそうな兆しが見える。

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