企業間コラボレーションのススメ:第1回(1/2 ページ)
企業間の仕事では、社内の場合以上にコミュニケーションを取ることが重要となる。本記事では、企業間のコラボレーション手法の現状を見たうえで、「サイボウズコラボレックス」を使った新しい手法について見ていこう。
企業間の仕事をうまく進めるには、コミュニケーションを上手にとりながら進めていくことがとても重要です。もちろん、社内の仕事でも関係各所とのコミュニケーションは欠かせませんが、企業間の仕事の場合、
- 企業文化/風土の相違
- 仕事の進め方の相違
- 仕事に対する重要度の相違
- 利害関係
といった点も注意深く考慮して進めていく必要があるため、コミュニケーションがより重要な要素となります。一般的に、よいコラボレーション(協業)となる場合は、これらの相違がうまく解消されている場合であるといえるでしょう。
物理的な距離も離れていることが多く、社内におけるコミュニケーションとは勝手が違いますが、往々にして顔合わせなどの対面コミュニケーションを行ったり、様々なコミュニケーションツールを導入したりしてコミュニケーションを多くとろうとするのが通例です。
社内のコミュニケーションでも部署が変わると認識のズレや誤解が生じやすいことは皆さんも少なからず経験があると思いますが、いったん認識のズレなどが生じると、それらを解くためにさらなるコミュニケーションを必要とします。企業間で同じような誤解が生じた場合、それを修復するには社内の数倍は修復するための労力が必要になります。
企業間で仕事を進める際にメール・電話・ファイルサーバなどの従来の手段だと引き継ぎやコミュニケーションも難しく、また手段が多岐にわたるため、情報が一元管理されづらいという問題があります。それぞれにどんな問題があるかを見ていきましょう。
メールやメーリングリストを使った場合
- 物事の経緯が見えづらく、また途中で加わったメンバーは話がわからない
- 膨大なメールボックスから過去のやりとりを探すのが大変
- メールボックスの容量制限、受信サイズの容量制限などがあり、ファイルを分割・圧縮して送信する手間がかかる
VPNを使ってファイルサーバを立てた場合
- 情報システム部門の許可が必要
- 稟議申請や情報システム部門との調整作業が大変
- 環境構築に時間がかかる
専用ツールを使った場合
- メンバーの人数分クライアントツールをインストールする必要がある
- クライアントライセンスとサーバーライセンスを購入する必要がある
- みんなが使えるように教育する労力がかかる
- ツールのカスタマイズに時間とお金がかかる
これらの問題点を解消するために、複数のツールを併用して仕事を進める場合もあります。ツールを併用することは、一見、お互いの問題点を補いとても有効のように思われますが、下記のような別の問題が生じてくることになります。
- 運用ルールを細かく決める必要がある
- 各ツールの使い方をメンバー全員に教育する労力が生じる
- 各ツールのシステム管理・メンテナンスを行う労力が生じる
例えば、メーリングリストとファイルサーバを併用して仕事を進めた場合についてみてみます。下記のルールを仮に策定し運用した場合について考えてみます。
- 業務連絡はすべてメーリングリストで行う
- 1つの議題の中では1つのことについて、議論・やりとりを行う
- メーリングリストにはファイルを添付してはいけない
- ファイルはすべてファイルサーバへアップする
- ファイルサーバからクライアントマシンにダウンロードしたファイルは毎日9:00に破棄し、取得しなおす
このようなルールを決めて、運用を開始してしばらくすると下記のような問題が発生します。
- メーリングリストにファイルを添付するメンバーがいる
- メーリングリストで細かいタスクの依頼が行われ埋もれていく
- 議題が違うメーリングリストに書き込むメンバーがでる
- ファイル名のつけ方が各自バラバラで管理ができなくなる
- メーリングリストにファイルへの注意書きが書かれているが、ファイル側から関連性がなく探せない
- 古いファイルの内容で仕事を進めているメンバーがいる
- 変更の打ち合わせ・会議回数が激増した
策定した運用ルールが大雑把でまずかったのでしょうか? さらに細かく運用ルールを決めれば何の問題も生じず、コミュニケーションが円滑になり仕事が進むでしょうか?
既にお気づきかも知れませんが、運用ルールを細かく決めれば今度はそのルールが細かすぎるために覚えきれない・守れないメンバーが生まれることになり、せっかく決めた運用ルールも「絵に描いた餅」となり、「負のスパイラル」に入っていきます。
このスパイラルに入っていくとメンバーのモチベーションも低下し生産性も著しく低下します。場合によっては途中で退職するメンバーも出てくることでしょう。
では、どうすれば上記のような問題が生じずに、企業間の仕事を上手に進めていくことができるのでしょうか?
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