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コールセンターが企業競争力を左右、NECフィールディングに見る実例(2/3 ページ)

コールセンターの重要性が非常に高くなってきた。Genesysベースのコールセンターを構築し、効率性をアップさせたNECフィールディングに話を聞いた。

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 同社の大きな決断は、IVR(自動音声応答)を採用しなかったことにある。「当たり前のサービスではなく、期待を超えるサービスを」をテーマに、佐々木氏は、「肉声にこだわった」と話す。

 効率改善だけが目的ならIVRを導入するのはいいかもしれないが、コールセンターに電話をかけた時に、自動応答の音声が流れるとガックリきてしまうのは、万国共通か、少なくとも日本では共有できる感覚のようだ

 「IVRが入ると迅速性に欠ける。3コール、つまり10秒以内にオペレータの肉声が聞こえる体制を作れるかが勝負」と佐々木氏。ここには、交換機を通り、電話をかけてきた顧客のデータベースから情報を取得、オペレータのPCにそれがポップアップされるところまでの運用が含まれる。

佐々木氏。「今後はコールセンターのIP化に取り組みたい」と話す。

 自動応答サービスで、「ハードウェア? ソフトウェア? サービス? プリンタ?」というように、コンピュータの種類ごとに窓口を分ける方法は、顧客に問題箇所を切り分けてもらうことになり、顧客満足度の低下を招くという判断もあった。「IVRは使用しない」ことが決まった。

呼量予測に基づくスタッフィング

 コールポリシーには、全国共通の電話番号、通話料金の全額負担、大規模災害時でもサービスを継続させることなども含まれる。

 また、呼量予測を1カ月先、30分ごとという細かい単位で行い、人員配置や勤務管理を行っていることも同社の特徴として挙げられる。こうした努力により、応答時間や、顧客が通話を断念する放棄呼率が、他社と比較しても格段に下がったという。

 応答時間は、米国平均の中央値が12.5秒、平均値は17.1秒であるのに対し、同社は平均で6.8秒。放棄呼率は、航空業界は12.7%、銀行は6.3%、通信業は6.6%であるのに対し、同社は2.6%と低い数値に留まった。(数値は、Comuputer Telephony 2002年-7月号から。)

 全国共通の電話番号にすることでデメリットは生じないか? 顧客企業の中には、慣れ親しんだコールセンターと話をしたいというニーズもあるはずだ。これに対しては、全国共通の無料通話番号にかかってきた電話を、発信されたエリアごとに指定した受付先に着信させるユニバーサル機能で対応。さらに、特定の顧客に対しては、予め指定したオペレータが対応する体制を敷いた。CTIの機能の高さが大きく貢献している。

ナレッジの共有でスピードと質をアップ

 コールセンターの品質を左右する要因として、情報共有体制も挙げられる。顧客が過去にどんな相談をしたのか、どんなシステムを利用しているのか、電話をかけるたびに説明をしなくてはならない状況では、顧客満足の向上はままならない。

 同社は、誰が受けても顧客について素早く把握するシステムを目指した。担当営業やSEの体制表や連絡先、ディフィカルティ報告書、地図やネットワーク構成図、過去の作業履歴や通報履歴、業務内容、運用手順書、契約内容など、誰が電話を取ってもすばやくオペレータの画面に表示される。

 また、同様のトラブルを過去の事例から検索するために、高速情報検索エンジンを採用。1万件の事例から、処理時間0.1秒という速さで検索できる。自然語検索にも対応している。

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