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パートナー企業とのデリケートなバランスを取るARMの戦略Interview(1/2 ページ)

組み込みマイクロプロセッサ技術の大手、ARMの会長を務めるロビン・サクスビー卿に、Intelとの関係やポートフォリオ拡大戦略について聞いた。(IDG)

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 組み込みRISCマイクロプロセッサコアの知的財産(IP)をライセンス供与する会社として発足した英ARM Holdingsだが、今や携帯電話などの機器に組み込まれる半導体とソフトウェアコンポーネント用の、プロセッサコア以外の技術の開発・ラインセンス供与にも手を広げている。今回のインタビューで、ARMが時には一部パートナーを悩ます存在となり得ることを、同社会長のロビン・サクスビー卿は認めた。

 ARMは5月に、信号処理用途の組み込みデータエンジン技術であるOptimoDEを正式リリースした。10月にはNeon技術も発表。Neonは、64/128ビットSIMD(Single Instruction Multiple Data)命令セットで、次世代メディアおよび信号処理用として、ARMプロセッサに実装される。また、同社はマルチメディア/グラフィックスアクセラレータなど、これ以外の技術のIPも発表している。

 その間にも、ARMのビジネスは成長を続けている。ARMによれば、同社が「パートナー」と呼ぶライセンス供与先によるARMコア採用プロセッサの出荷量は13億個に達する見通し。また、同社のコアは、出荷された携帯電話用プロセッサの85%に組み込まれているという。

 サクスビー卿はIDG News Serviceのインタビューに答えて、ARMのIPポートフォリオ拡大戦略と、ARMの増え続けるIPにTexas Instruments(TI)やIntelといったパートナーがどういった反応を示すと思うかを語った。以下はその編集済みインタビュー記録だ。

―― ARMプロセッサから始めて、今やOptimoDEデータエンジンや、マルチメディア/グラフィックスソリューションといった、プロセッサ用各種コンポーネントのIPの提供元となっていますが、携帯電話のような機器に組み込まれるコンポーネントの提供をどんどん増やしていこうという動きの背景にある戦略はなんですか。

サクスビー卿 当社は既に、実質的な世界一のIP提供企業となっていますが、自社の価値は当然、高めていかなければなりません。企業としての価値を高めるため、提供するプロセッサ用コンポーネントを増やし、プロセッサに採用される付加価値の高いIPを提供するのです。

 しかし、これと同じくらい重要な戦略として、ソフトウェアコンポーネントとソフトウェア事業を拡大するということがあります。Sony Ericssonの携帯電話の最新機種では、WebからJavaアプレットをダウンロードし、素晴らしいゲームを、とても簡単かつ省電力で楽しむことができます。この携帯電話には、Jazelleのハードウェアエンジンと、同じくJazelleソフトウェアエンジンが搭載されています。ソフトウェアをライセンス供与する利点は、ソフトウェアベンダーとプロセッサベンダーの両方から特許使用料を得られる点です。つまりプロセッサ1個当たり二重の特許使用料を得られるわけです。

―― IPをどんどん増やしていくというARMの戦略は、同じようにIPのライセンス供与を行っているパートナーを動揺させはしませんか。

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