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CIOが経営者を説得してEAを導入するための秘訣は?(2/5 ページ)

ガートナージャパンはCIO向けに「EA実現への5ステップ」を示した。ITとビジネスの関係を根本的に見直し、最適化していく活動として企業はEAをどのように導入していくべきかを考える。

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第2ステップ――資産の評価とビジネスへ

 EA実現のための次のステップは、資産調査と機能図の作成だ。自社が所有するハードウェアやソフトウェア、さらに、ベンダーとの関係を洗い出し、評価しなくてはならない。

 プロセッサ、ストレージ、ネットワーク機器などのハードウェア資産に関しては、取得日や価格、リース料率、減価償却率などを把握する。また、ハードウェアを利用している主なアプリケーションも調べなくてはならない。一方、ソフトウェア資産については、ライセンス形態や年間のコスト、社内の主なユーザーとユーザー数、最も重要なデータの発生元と利用者などを把握するべきだ。

 そして、ラスキーノ氏が、「通常あまり対象にならないが評価する必要があるもの」と指摘するのが、ベンダーとの関係だ。自社の情報システム室が関係を深めているビジネスおよび技術面でのパートナー、取引のあるパートナー、さらに、取引のないパートナーもリストアップする。また、ベンダーとの間を取り持つ際の双方の関係管理者なども把握する。

 次に行うことは、ビジネスの戦略をITに結びつけるための大枠を考えるというプロセスだ。

 ここでは、たとえば、顧客ベースを強化し、より優れたサービスを提供するという目標を達成するために、すべての顧客が利用できる一貫したアクセスポイントを用意すること、企業買収を通じて成長するために、多数の新規顧客の追加をシステム的に可能にしておくことなどが考えられる。また、業務を効率化するために、データへのアクセス性を高めておくなども挙げられる。つまり、ビジネス戦略の1つひとつを、ITと対応させる作業だ。

 さらに、戦略のレベルでビジネスとITの関係を定義した後は、実際の自社のビジネス機能を理解し、「ビジネス機能図」を作成する。たとえば、ビジネスの流れを左右する要素として、「販売とマーケティング」「生産」「顧客サービス」「(財務、人事などの)管理と統制」「研究開発」などがあった場合、それぞれの下位機能を分析する。生産ならば、購入、スケジューリング、工場の運営、ロジスティックス、品質管理などの下位機能が挙げられる。

 さらに、下位機能ごとに必要となるアプリケーションをリストアップし、重複や余剰、欠損がないかを検討する。アプリケーションを導入することを前提とした業務プロセスが描ければ、そこで第2ステップが終了だ。


ビジネスバリューチェーンを洗い出し、それぞれの下位機能を把握する

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