個人情報保護法は、個人情報を保有する場合は厳格に利用目的を定めることを義務付け(法15条1項)、その利用目的を変更する場合にも制限を設けています(同条2項)が、利用期限や保管期間を定めることまでは求めていません。利用しなくなったことを理由にした個人情報の抹消請求なども認めていません。それどころか、保有している個人情報の正確性や最新性を保つことも事業者の絶対的な義務とはせず、努力義務にとどめています(法19条)。
したがって、既に利用しなくなった情報がそのままの状態で放置されることが考えられ、消費者の不安の基となっています。例えば、結婚情報サービスの会員登録をした顧客の情報が、脱会した後もそのままの状態でずっと管理されるのだとしたら、入会を戸惑う人もいるでしょう。
法が正確性、最新性を努力義務にとどめている理由は、すべての情報を常に正確かつ最新の内容に保つには、事業者に膨大な負担を強いる可能性があるため、事業者側の過重負担を考慮したものと説明されています。したがって、当該事業者が対応できる限りは、利用しなくなった個人情報は抹消するのが望ましいことには違いありません。また、事業者にとっても、必要のない情報を確実に消去することによって、漏えいなどのリスクを軽減させることにもなります。
いちいち消去の必要性を判断するのは負担が大きいというのであれば、あらかじめ消去の時期をルール化しておくという方法があります。例えば、上記の結婚情報サービスの場合、退会時に一律に抹消する、あるいは退会後1年だけは統計用資料として活用しその後抹消するなどのルールを作った上で、機械的に抹消することにすれば負担が軽減できます。
さらに言うと、抹消してほしいという消費者の要望がある場合、例え正確な情報であっても、また、古い情報でも新しい情報でも、できるだけその要望に応えてあげるのが消費者の信頼を得ることにつながるでしょう。
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古本晴英プロフィール
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