SAN対NASの議論はもはや無意味、基幹を目指すネットアップ:Interview(前編)(2/2 ページ)
「SAN対NASという議論はもはや影を潜めている。むしろSymmetrixを使うか、Filerを基幹系で使うかで判断される」と話すNetApp。同社は、NASを超えて基幹ストレージを目指す。
サーモン もちろん大事なのは、単にNASだという意味合いだけではありません。NetAppのすべての製品は、ブロックアクセスのiSCSIにしても、ファイバチャネル(FC)のSANも両方サポートしています。実際、iSCSIではマーケットリーダーですし、FC SANでも私たちの製品を利用してもらえるケースが増えてきています。これらを支えているのは、創業者2人が作り上げてきた「WAFL」(ワッフル)と呼ばれる拡張性に優れたファイルシステムを基にした、単一のアーキテクチャです。
もはや企業内におけるストレージシステムの中で、SAN対NASという議論は影を潜めつつあります。むしろ、大切なのは、各々の経営課題に対して、ベストなソリューションというのは何なのか? これを追求していくことだと考えています。ストレージシステムがシングルアーキテクチャで先ほどの4つのプロトコル(編集部注:NFS、CIFS、FCP、iSCSI)をサポートしていれば、顧客がどの選択肢から始めたとしても、置き換える必要がないのですから。
――とはいえ、エンタープライズと呼ばれる大企業はFC SANを利用していますし、ここではEMCという巨大な競合が強固な基盤を築いています。NetAppがエンタープライズを目指せば、EMCとぶつかります。また、EMCはローエンドに向けて攻勢を仕掛けてきています。勝てるのでしょうか?
サーモン 四半期決算をベースにした各社の市場シェアを見てください。HPやIBMといったサーバベンダーは、ストレージ分野で大幅に減益になっています。一方で、私たち専業ベンダーがシェアを伸ばしています。これは明らかに、それに特化した専業ベンダーに強みがあるということを表しています。それだけでなく、EMCを利用しているような大手の顧客の中にセカンドベンダーとして入り込み、どんどんシェアを広げているからです。
理由は、既にお話していますように、NetAppのアーキテクチャが投資効果に非常に大きな差異を生じさせるからです。EMCに限らず競合製品に比べ、NetAppは非常に劇的に、目に見える形で投資効果の向上が図れます。一度NetAppを入れてみると、ほとんどがこちらにシフトしてきます。今後も私たちは、サーバベンダーのシェアを食っていっているだけでなく、競合であるEMCのシェアももちろん食い続けていくということです。これには非常に強い自信を持っています。
ラウ ミッドレンジ、ローエンドといった市場の区分けで見て、私たちの製品は、日本でいうCLARiXといった製品や彼らのNAS製品とぶつかるだろうと考えているかもしれません。しかし、実際にはSymmetrix、DMXといった彼らの基幹製品とピア・ツー・ピアでぶつかっているケースが多いのです。顧客からしてみれば、大きなアプリケーションを構築するときに、SANやNASだという議論ではなく、Symmetrixを使うか、NetAppを使うかで議論される状況になってきています。
典型的な例は、Oracleです。彼らのASP事業の基幹ストレージとして、EMCのSymmetrixを利用するのが良いのか、私たちの製品を純粋にNASとして使うのが良いのか、比較しました。その結果、私たちの製品を使う方が、75%もTCOが下がることが判明し、今では完全に私たちの製品を採用しています。(→後編へ)
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