日本へ過去最大の戦略投資を行うネットアップ:Inetrview(後編)(2/2 ページ)
日本を最重点市場と位置付けるNetApp。ワールドワイドセールス担当エグゼクティブバイスプレジデントのロブ・サーモン氏は「過去最大の投資になる」と意気込む。
――最後に、NetAppが注力している「ストレージグリッド」について教えてください。OracleのASP事業の話も出てきましたが、提携関係にあるOracleなどの戦略と非常に相性が良いようにも思えます。そもそもストレージグリッドとは、どのようなものなのでしょうか?
ラウ ストレージはインフラです。インフラであるからには、容量・パフォーマンスにおける無限の拡張性を持てることが重要になります。考え方としては、グリッドコンピューティングと共存できるものです。
グリッドコンピューティングについては、主にサーバベンダーがさまざまな言葉を使って提唱していますが、各社とも同じことを言っています。提供リソースにおけるパフォーマンス・容量における自在な拡張性を持った環境を提供しようとするものです。
NetAppがストレージグリッドを強く謳っているのは、このコンピューティング環境にストレージリソースをダイナミックに提供したい、ということが背景となっています。それをNetAppは単一のアーキテクチャによって簡単に実現しているのです。
――現段階でストレージグリッドが可能になっているということですか?
ラウ ストレージグリッドそのものは、近未来の機能構想です。現段階では、それを支えるベース部分を実現したというのが正しい言い方になります。具体的には、NAS/iSCSI/SANの融合、単一アーキテクチャですべてのネットワークアクセスに対応しています。
12月に発表した「Data ONTAP 7G」では、FlexVolという機能でボリュームの変更をフレキシブルなものにしました。その次のステップは、買収したSpinnakerの持っている複数のノードが柔軟に協調し合えるようにするグローバルネームスペースを取り込むことにあります。
ここで大事なことは、OSの各層の積み上げによって最終的にストレージグリッドが実現されるということです。言い換えれば、OSのバージョンを上げるだけで、顧客はストレージグリッドを完成させることができるわけです。
サーモン さまざまな産業分野、例えば、半導体の設計、石油探査、金融機関大手では、ブレード型のサーバを積み上げて大きなコンピューティング環境を作ろうとする動きがあります。この際に大きな課題となるのは、OSやファームウェアのバージョンアップなど構成変更に多大な労力が発生しがちになる点です。
半導体関連の顧客では、Linuxのコンピューティングファームを3000台という膨大な数のブレードサーバで構築していますが、こういったケースに対し、私たちは複雑性を排除して単純に管理できるソリューションは何なのかを真剣に考えています。ジェームズがお話していることは、まさに明日の解決策から生まれたというよりも、今の解決策を生み出すために出てきたものです。
現時点の段階でも、NetAppの製品を利用することでさまざま単純化が発揮され、運用管理が楽になります。こういった経験を顧客が実際にしているということが、私たちがストレージグリッドへ進んでいく後押しとなっているのです。
ラウ そして、忘れてはいけないのは仮想化によるメリットです。今回の7Gでは、Filerそのものを仮想化できます。パフォーマンスはディスクのスピンドルに影響を受けます。つまり、より高いパフォーマンスを求めるには、より多くのディスクをボリュームの中に入れなければなりません。そうなると、ボリュームやディスクの使用率が下がってしまいます。これは結果的には、コストに跳ね返ってきてしまいます。この双方の問題を解決できるのです。
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