ミラクル × ネットアップ──実証済みのタッグが大規模基幹システムに挑む:トップ対談(5/6 ページ)
ROIを重視する企業は、サーバだけでなく、OSやストレージに対する投資にも敏感になっている。「実証済みのソリューションスタックで大規模な基幹システムに挑みたい」とミラクルの佐藤社長とネットアップの鈴木社長は意気込む。
鈴木 Asianuxにはわれわれネットアップも大いに期待をしています。北米がRedHat、欧州がSuSE、そしてアジアはAsinux(日本はMIRACLE)という方向性がはっきりすれば、われわれのパートナーを含めた、システムインテグレーション能力の高いグループが出来上がると期待しています。
佐藤 経済的な規模を見ても、3極は肩を並べつつあります。米国のGDPが10兆ドル、欧州も10兆ドル、そして日韓中を合わせると6.5兆ドルで、既に3分の2まできています。近い将来、元の切り上げが実施されれば、それで追いついてしまうでしょう。それだけの経済圏なのです。
また、日韓中はオープンソースだけでなく、第4世代携帯電話やIPv6などでアジアの標準を確立しようという流れも出来てきています。
実証されたソリューションスタック
ITmedia OracleとNetwork Applianceは1月下旬、OracleのChina Development Center(CDC:北京)に共同ストレージ・ソリューション・センターを開設しましたね。この狙いは何でしょうか。
鈴木 アジアのLinux標準であるAsianuxに対し、Network Applianceは全ストレージソリューションの包括的な認証プロセスを開始しました。日韓中には巨大な可能性があり、その中心ともいえる北京のセンター開設によって、顧客に近いところで検証やパフォーマンスチューニングを提供できるのは重要です。
佐藤 Asianuxの開発拠点もOracleのCDC内にあります。ミラクルはCDCに技術者を派遣し、中国のレッドフラッグ・ソフトウェア、韓国のハーンソフトと共同でAsianuxを開発しています。もちろん、Oracleの技術者とも緊密に連携しています。Oracle、ミラクル、そしてNetwork Applianceが常にコミュニケーションを図りながら、認証やソリューションの検証を推進できる場が持てたのは非常に大きなことです。
鈴木 Oracleを稼動させる中で細かな障害が発生しても、すぐさまAsianuxがカーネルレベルで改善され、NetAppストレージのOS改善もそれに即応できます。
佐藤 Oracle、MIRACLE LINUX、そしてNetAppストレージという実証されたソリューションスタックが北京の共同センターから生まれるというわけです。
鈴木 もちろん、NTTデータ、伊藤忠テクノサイエンス、そして富士通といったわれわれのパートナーは、顧客らに対する最終的な責任は自身で負っていますので厳しい再検証を必ず実施します。
米国人の感覚では、ディスクは壊れるものだからシステムが停止しないための仕組みをいろいろと考えてるわけですが、日本市場の場合、それは当たり前。さらに、なぜディスクは壊れるのか、あるいは多発する可能性があるのなら、なぜエージング(安定動作を確認するための慣らし運転)の段階で排除できなかったのか、を問います。バグがあったらどう防ぐかという世界と、バグは許されないという世界では全く違います。
外資系ベンダーの場合、この発想の違いを本社がなかなか理解してくれず、苦労することが多いのですが、Network Applianceは真剣に取り組んでいます。先ず日本市場できちんと対応し、学ぶべきことはワールドワイドの品質改善プログラムに取り入れていこうとしています。
ソースレベルの迅速な対応
ITmedia 両社は国内にもカーネル、あるいはOSの開発拠点があるのですか。
鈴木 はい。タイムラグのないところにカーネル開発者、あるいはOS開発者がいるのは重要です。ある検証の過程でサーバベンダーのOSとスイッチの双方に問題があり、NFSの処理に不具合が出ることが判明しました。残念ながら両社はすぐに対応してもらえませんでしたが、われわれはNetAppストレージのOSを改善し、2日で解決できました。日本の拠点でソースコードを見ながら対応しますので、米国とのやり取りがなく迅速です。これはパートナーからの信頼を得たきっかけとなりました。
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