EA導入のツボはポートフォリオ・マネジメント:Information-Age Applications Day 2005(4/4 ページ)
「Information-Age Applications Day 2005」で、ヘッドストロング・ジャパンのプリンシパルで、金融庁CIO補佐官の桑原義幸氏がEA導入の考慮点について講演した。
ポートフォリオ・マネジメントの進め方
EAに取り組むにあたり組織戦略の明確化が必要となる。利益追求を目的としない政府と異なり、企業の目標は企業価値の増加であり、その要素としては収益の増加(売り上げの拡大とコスト削減)や資本活用の効率化がある。企業における戦略の始点は明快であり、投資の効果は計りやすいはずだ。
EAにおいては、ポートフォリオ・マネジメント(PfM)が重要となるが、PfMではプロジェクトを評価するための基準と項目を設定する必要がある。まず、「企業戦略との整合性」と「プロジェクト実行上の特性・状態」が評価対象となる。前者は、プロジェクトが経営的な効果創出にどう貢献しているか。後者は、プロジェクトに有するリスク、スケジュール、進捗状況などの評価となる。
PfMは、1.評価基準の設定、2.企業戦略との整合性の評価、3.財務的な貢献についての評価、4.優先度の設定・調整、5.継続的なマネジメントおよび評価、と順に5つのステップで流れていく。3と5の評価ステップで、2の評価ステップにおける評価基準の見直しをかけるサイクルとなる。
評価基準には、KPO(キー・パフォーマンス・オブジェクティブス)を用いるが、KPOの設定において同氏は、売上増大、コスト削減、資本活用の効率化などの財務的目標を出発点に、戦略を意識し、評価基準の因果関係をきちんと押さえて適切な単位に分解していく(掘り下げていく)ことが重要だと指摘した。
また、非財務的効果(たとえば顧客満足度の向上など定性的な項目)についても、評価基準として設定し、戦略との整合性を評価することが大切だとし、PfMの基本的な考え方を説明した。
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