インテル、「マルチコアCPU」時代のベンチマークを語る
すでにAthlon 64 X64やPentium Extreme Editionのレビュー記事で紹介しているように、使うベンチマークによってその結果が大きく変わるデュアルコアCPU。その実力を正しく評価してもらうべく、米国インテル本社からベンチマークのスペシャリストがやってきた。
インテルは、先日デビューさせたデュアルコアCPU「Pentium ExtremeEdition」「Pentium D」のパフォーマンスを適切に評価するための「ベンチマーク手法」に関する説明会を、米国インテル本社から来日したマット・ダンフォード氏(インテル本社パフォーマンス・ベンチマーク・アナリシス パフォーマンス・エバンジェリズム・グループ マネージャ)と同じくアニュ・デュア氏(同パーフォーマンス・ベンチマーク・アナリシス プラットフォーム・マーケティング・グループ マネージャ)をメインスピーカーに迎えて行った。
「いままでは、PCの利用場面ごとに、それぞれに適したベンチマークを用いて性能を測定するアプローチだった」と説明するダンフォード氏は、Windows XP x64に対応したSYSmark2004 SEやマルチコアに対応したPCMark05、マルチスレッドに対応したDivX 6とそれを利用した各種ベンチマークの登場など、デュアルコアCPUの性能を正しく評価できるように従来のアプローチを用いたベンチマークがアップデートされている状況を説明。
インテルはWindows Media Encorderを使ったテストではマルチコアに対応した「Advance Profile」を使うことを推奨している。なお、Advance ProfileはWindows Media Player 10をインストールするとシステムに組み込まれる。このほか、ダンフォード氏はiTunes 4.7.1による音楽CDの取り込み、Adobe Premiere Pro 1.5によるHDビデオのトランスコード処理を利用した性能測定方法を示している
ただし、説明の中でダンフォード氏が繰り返し口にしたのが「使い方が問われるこれからのPCでは“数値”ではなく“能力”で評価しなければならない」というベンチマークの考えかただった。
「来日して(インテル本社の近くにある)ビックカメラを回ってみたが、日本ではすでに“デジタルホーム”が現実になっている。ユーザーはマルチタスクでPCを使っているが、そういう状況でマルチコアCPUを利用することでより効率よくPCを使うことができる」と語るダンフォード氏。
彼は「デジタルホーム的なPCの使い方においては、ストリーミングデータを送りながら別な負荷をかけ、ストリーミングデータの品質を維持したまま、どの程度別な負荷をかけられるかでPCの能力を測定すべき。そしてこのような状況を測定できるパフォーマンス測定ツールを考案しなければならない」と主張する。
「これからのマルチタスク的PC利用」に適したパフォーマンス評価の見せ方としてインテルが提案する一例がこのような表形式。各テストの値も従来の「特定の処理を行うのにかかる時間」ではなく「単位時間にどれだけ処理できるか」とすることで「“数値”でなく“能力”をしめす」(ダンフォード氏)という
最後にダンフォード氏はゲームにおけるパフォーマンス評価についても言及。ゲームの描画や状況処理、登場ユニットの管理のほかに、ゲームモデルが「それらしく」挙動するために必要なAI処理のために、これからのゲームはマルチスレッド化していく、と述べたうえで「Intel Developer Forum Japan 2005」で披露したFuturemark開発のマルチスレッド対応ベンチマーク「MECHANOIDS」について説明。
「4スレッドに対応しており、そのうち1スレッドは描画やユニット、ゲームモデルの状況管理などに使い、残りの3スレッドはAI処理に使っている。このため、シングルコアCPUでは、AI処理の負荷が高くなってくるとフレームレートが低くなるが、デュアルコアCPUではAI処理の負荷が高くなってもフレームレートが維持できる」(ダンフォード氏)と説明。
「現在のゲームはフレームレートを重視して(AI処理のような)フィーチャーをカットする傾向があり、もともとAI処理は十分に行われていなかった。現在開発中のゲームは“16スレッド”といったマルチスレッド対応が当たり前になってきている」(ダンフォース氏)と、マルチコアCPUが、ゲームも新しい世代を出現させたことをアピールした。
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