レビュー:ZETA Version 1.0――遊べるマルチメディアOSの実力は?:帰ってきたBeOS――ZETAを探れ!(2/2 ページ)
2005年7月6日、日本国内でZETA Version 1.0の発売が開始された。ZETAは、かつて一世を風靡し、メディアOSといわれながらも消えていったBeOSの正統な後継OSである。ここでは、ZETAのインストールと、そのOS環境についてのレビューをお届けする。
トラブルに強いZETA
新しいデバイスドライバをインストールしたり、重要な設定ファイルを変更したりすると、OSの起動に障害が発生することがあるのはZETAとて変わりありません。しかし、ZETAではインストールCD自体がライブCDにもなっており、それを使って簡単にシステムの復旧ができます。
やり方としては、まずインストールCDからシステムをブートしてインストーラを起動させます。次に、Ctrl+Alt+Deleteキーを押すとチームモニタが表示されるので、[デスクトップを再起動]をクリックしデスクトップを起動します。この環境ではZETAがインストールされているパーティションをそのままマウントでき、そこで障害を取り除くことができます。
システムファイルを変更してはOSが起動しなくなる、などといったことを日常的に体験している筆者ですが、このようにZETAでは復旧が比較的容易なので、安心してシステムをいじることができます(笑)。
UNIXとの互換性
ZETAはUNIXではありませんが、UNIXライクな部分は多数あります。ターミナルでは標準のシェルとしてbashが使われており、ファイルシステムはUNIX式のパーミッションをサポートしています*。ほかにも、lsやcpなどのGNUCoreutilsや、GCC、GNUmakeなどが標準でインストールされています。また、オープンソースソフトウェアをソースからコンパイルすることもできます。UNIXになじみのある方ならば、この環境にもすんなり入っていけるでしょう。しかし、大規模なアプリケーションのコンパイルについては、まだまだ一筋縄ではいかないことも多く見られます。
まだまだ枯れていないZETA
ZETAではBeOSR5にはない、たくさんの先進的な機能を実装してきました。それだけに、多くの問題が発覚しており、安定度の面でもまだ良好とはいえないようです。たとえば、筆者はこの記事の執筆も含め、日常的な作業をすべてZETAで行っています。しかし、Web閲覧時にFirefoxがOSを巻き込んでハングアップし、再起動を余儀なくされることがしばしば発生しました。また、カーネルパニックに遭遇することも何度かありました。デバイスドライバの拡充に加えて、安定性の強化がこれからの最重要課題といえるでしょう。
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コラム もう1つのBeOS互換OSプロジェクト、HAIKU
BeOSのクローンOSをオープンソースで開発しているプロジェクトである、HAIKUプロジェクト(http://haiku-os.org/)が静かな話題になっています。ZETAの開発は、yellowTABがBe社から正式にソースコードを引き継いで行っているのに対し、HAIKUは完全にゼロからBeOS互換OSを作り出そうとしているプロジェクトです。開始当初は実現できるのか疑われもしましたが、現在ではその成果が着実に実を結びつつあるようで、実はZETAにも少なからずHAIKU由来のコードが使用されています。最新のHAIKUソースコードは、
http://download.berlios.de/pub/haiku/snapshots/
から入手できます。HAIKUはUNIXとの互換性がより重視されているらしく、UNIXフリークな方なら思わずニヤリとしてしまうようなコードが多く見られます。筆者もHAIKUコードを調べることがあるのですが、かなり期待できる感触です。腕に覚えのある人は、開発に参加してみてはいかがでしょう。
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