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マルチコア・ライセンスと仮想化はオープンソースへの追い風(2/3 ページ)

デュアルコア/マルチコア・プロセッサと仮想化テクノロジの利用へと向かう現在の流れは、Linuxとオープンソース・ソフトウェアにさらに大きな優位を与える。その理由について考えてみよう。

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ミドルウェアへの影響

 米Illuminata上級アナリストのGordon Haff氏は、MicrosoftやRed Hatのようにコアの数とは無関係にチップ単位でソフトウェアのライセンスを供与するオペレーティングシステム・ベンダーには、マルチコアの導入による影響はほとんどないと見ている。しかし、OracleやIBMなどのベンダがコア単位の料金体系にこだわるなら、痛い目にあう恐れがある。「OracleあるいはIBM DB2が、マルチコアを実質的な料金値上げの機会として利用しようとするなら、オープンソースが漁夫の利を得る結果を招きかねません」と彼は指摘し、JBossやMySQLなどのミドルウェア・アプリケーションを主に引き合いに出した。

 同氏は、マルチコア・ライセンスの影響度を「二次的効果」と呼んで控えめに見る一方で、同じ種類の問題をもっと大きな規模で抱えているのが仮想化だと指摘する。この分野で、オープンソースはさらに大きな勢力伸張の可能性を秘めている。

 「仮想化は、間違いなくずっと大きな問題です。多くの場合に、従来のプロプライエタリ・ソフトウェア・ベンダは、顧客が許容できるライセンス形態をすぐには提示できません。ここにオープンソースが利益を得るチャンスがあるのです」。最後にHaffは、この利益は「プロフェッショナルなオープンソース」企業が「仮想化の世界で」いかにしてサポートを提供し、サービス契約を販売するかで大きく左右されると言った。

オープンソースの簡易なライセンス形態

 MySQL CEOのMarten Mickos氏は、エンタープライズでオープンソースが利用される最大の理由はそのパフォーマンス、信頼性、拡張性にあるが、マルチコア・ライセンスはさらに別のメリットをオープンソースに与えると言う。「エンタープライズの顧客は、コアを数えたくないし、払い過ぎるのもいやなのです」

 マルチコア・ライセンスの問題に関してプロプライエタリのライバルに対抗するための教育、支援、またはマーケティングの活動には具体的に触れなかったものの、Mickos氏は、同社がライセンスの簡易性と経済性を重視していると力説した。「顧客にとってなるべく簡単なライセンス体系にすることを社内ガイドラインとしています。ですから、弊社のライセンスはサーバ単位で供与され、顧客は好きな数のプロセッサなりコアなりを利用できるのです。これを1つの理由として顧客は弊社を選択し、弊社はこれほど急激に成長しているのです」

 レイノルド氏はマルチコア戦略の検討を促したが、それと同様に、Mickosも組織がシングルコアCPUまたはマルチコアCPUのどちらを使うかに関係なく、サーバの能力を現状に合わせて強化するには、スケールアップ(各サーバの機能強化)ではなくスケールアウト(サーバの追加)を行うべきだと言う。

 「こうすると、経済性の高いサーバ構成をまず求め、後からビジネスニーズの高まりに応じてその構成からより多くの能力を得られます」

 JBoss製品管理担当副社長Shaun Connolly氏と製品管理担当重役Pierre Fricke氏は、従来のベンダーがさまざまなライセンス形態を編み出すに伴い、ソフトウェア・ライセンスの混乱とコスト増に拍車がかかっていると指摘する。

 「コア単位ライセンスのような形態ですと、ソフトウェアのコストが一気に増えるでしょう。フリーソフトウェアやオープンソース・ソフトウェアが提供するのは、明快で簡単な消費モデルです。このモデルには、CPU単位だの、Xコア単位だの、コンピュータ単位だの、そういったソフトウェア・ライセンスのややこしさはないので、ソフトウェアのコストや混乱が減ります」

 マルチコア・プロセッサの配備と仮想化テクノロジ(これも同じようなコスト爆発を招く)の2つが、エンタープライズFOSSの選択を避けられないものにする要因だと、Connolly氏とFricke氏は説明した。

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